いすゞ自動車は6月25日、東京大学農学部発ベンチャー企業のユーグレナと、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)由来の次世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けた共同研究契約を締結し、「DeuSELプロジェクト」を開始すると発表した。

「DeuSEL」とは、DIESEL(ディーゼル)とeuglena(ユーグレナ)を組み合わせた造語で、ユーグレナ(和名:ミドリムシ)からつくったバイオディーゼル燃料を表す両社が共同で取得した商標。

両社は、長距離輸送車向けのバイオディーゼル燃料開発の必要性に着目して協議を進めるなか、ユーグレナ社は微細藻類ユーグレナを原料としたバイオディーゼル燃料の開発を実施し、1年かけて微細藻類ユーグレナ原料のバイオディーゼル「DeuSEL」の開発に成功した。

ミドリムシ(学名:ユーグレナ)は体長0.05ミリの藻の一種で、体内に葉緑素を持っておりCO2を吸収しながら光合成で育つ。育て方を工夫することで体内に油脂を生成させることができ、これを抽出・精製することでバイオ燃料を製造することが可能になる。また、ミドリムシはビタミン類、必須アミノ酸、DHAなど59種類の栄養素を持つため、健康食材としての活用も進んでいる。

微細藻類ユーグレナの概要

活動の第一歩として、いすゞは7月1日より、藤沢工場と湘南台駅間を定期運行しているシャトルバスの燃料にこの「DeuSEL」を採用することを決定した。燃料としては、すでに規格化されている従来型のバイオディーゼル燃料と同様に、高濃度での利用はエンジンや車両への特別なケアが必要となる。

DeuSELバスと給油所(いすゞ藤沢工場内)

定期運行バス向けDeuSELの製造工程は、ミドリムシを粉末にし、そこから油脂分を抽出し、精製などの工程を経て、DeuSELが出来上がる。

定期運行バス向けDeuSELの製造工程

同プロジェクトを通じて、ユーグレナが次世代バイオディーゼル燃料の研究開発と生産を進め、いすゞがその燃料の評価を行うことで、2018年までの技術確立を目指す。