三菱商事は、シンガポール農産物商社「Olam International Limited(OLAM)」が保有する豪州の穀物事業会社「Olam Grains Australia Pty Ltd(OGA)」の株式80%を、融資金等含め約64億円で取得することに合意したと発表した。同社はこれにより、アジアの需要に対応できるグローバルベースの供給ソースを拡充する狙いだ。

OGA社は、東豪州ニューキャッスル港の輸出施設「New Castle Agri Terminal(輸出ターミナル)」の株式32.5%を保有し、年間100万トン超の穀物を取扱う企業となる。三菱商事はOGA社の株式取得後、豪州で運営する初めての輸出ターミナルを有効活用し、穀物の集荷機能を一層強化するほか、同社の100%子会社の在豪州配合飼料製造・穀物集荷会社「Riverina」との相互協力を高め、競争力ある豪州産穀物の安定供給体制を構築していきたい考えだ。

東豪州ニューキャッスル港の輸出施設イメージ

豪州は、穀物の中でもパンや麺類、菓子などの原料となる小麦の一大生産国。東南アジアでは、人口増加と経済発展による食生活の西洋化にともない小麦需要が増加し、地理的優位性のある豪州産小麦の重要性は今後も高まる見通しだ。

東南アジアを中心とした新興国では、中間所得層の急速な拡大を背景に生活必需品の需要が増大。同社はこのニーズを商機と捉え、インドネシアをはじめとする新興国での生活必需品のサプライチェーン構築に向けた取り組みとして、今回の株式取得の実施に至ったという。

2013年~2014年の三菱商事穀物事業の動き