日本ナショナル・インスツルメンツ(日本NI)は6月17日、PCやiPadで使用できるオールインワン計測器「VirtualBench」を発表した。

同製品は、100MHz帯域幅、アナログチャンネル(2個)、デジタルチャンネル(34個)、サンプリングレート1GS/秒のミクスドシグナルオシロスコープ、20MHz帯域幅、1チャンネルの関数発生器、最大入力電圧300V、最大入力電流10A、5 1/2桁分解能のデジタルマルチメータ、3チャンネル(+6V/1A、+25V/0.5A、-25V/0.5A)のプログラマブルPC電源、および8双方向チャンネルのデジタルI/Oの5種類の計測器を統合したベンチトップ用計測器で、USB接続によるPCでの操作のほか、2014年夏ごろにAppStoreにて入手可能になる予定のiPad用アプリ「VirtualBenchアプリ」を活用することで、手軽に5つの機能を1画面で操作することが可能となる。

日本NIの代表取締役を務める池田亮太氏

同社代表取締役の池田亮太氏は、「ジェネレーションY、デジタルネイティブとも呼ばれる世代が計測機器を活用して開発を行うような時代となり、そうした世代にマッチした計測ソリューションを提案する必要がでてきた」と語り、タッチスクリーンや携帯性、クラウドによるどこからでもデータにアクセスできる利便性、ユーザーに合わせた行動予測などのインテリジェンス性などが計測機器の分野にも求められるようになってきており、そうしたニーズへの対応を進めた結果、同製品が生み出されたと説明する。

こうしたさまざまな機能について、ジェネレーションYに適合する同社マーケティングテクニカルエンジニアのCasey Soileau氏は、「多機能が統合されているのは当たり前で、それを持ち歩きつつ、直感的に操作できることが重要」とし、「VirtualBench」を活用することで、従来、最大5台必要としていたコンセントが1個に集約できたり、電源を入れる作業などの手間も1回で済むほか、AndroidやiOSといった普段から触れているモバイルデバイスの感覚で操作ができる点がポイントになるとする。

計測機器とユーザーの世代の推移

ジェネレーションYの計測機器に対するニーズ

左がiPadの画面。右下の方に「VirtualBench」と書かれたアイコンが見える。右は、実際に同アプリを立ち上げて使用している様子。操作しているのがCasey Soileau氏

また、「Wi-Fiを活用することで、150m程度までであれば、離れた場所でデータのチェックができるほか、スクリーンショットもiPadの普通の操作ででき、かつデータのシェアも一般的な機能として用意されており、メールで送信したりDropboxに保存したり、表計算用データに変換したりすることが可能」と、iPadで基本的な測定が可能であることを強調する。ちなみにiPadとは専用アプリを介する形でWi-Fiで接続されるが、PCとは基本的にUSB接続となり、現状、Wi-Fi接続の予定はないとのことだ。ただし、PCを使った場合、基本的な使い勝手はiPadのアプリと同じだが、iPadに比べてより多くの機能や関数が使えるほか、LabVIEWとの連動も可能となるとする。

対応OSはPC側がWindows 7、iPadがiOS7以降となっており、本体価格は19万8000円(税別)としている。

スライド画像でみる「VirtualBench」。一番右が各種インタフェースの説明

実際の5台の計測器と、それを積み上げた際のイメージ。「VirtualBench」は、それらを1台に統合し、かつ非常にコンパクトでスマートな外観を実現した。ちなみに外形寸法はスペックシート上では190.5mm×254mm×73.66mmとなっており、A4用紙よりも縦横のサイズは小さい

「VirtualBench」と従来計測器5台を並べてみたところ。非常にスッキリとした状態にできることが見て取れる