STMicroelectronicsは6月17日、第2世代トレンチゲートフィールドストップ高速技術を採用した1200V耐圧IGBT「H」シリーズを発表した。
同製品は、太陽光発電システム用インバータ、溶接機、無停電電源、力率改善(PFC)コンバータなどのアプリケーションにおいて、電力効率と堅牢性を大幅に向上させる。具体的には、ターンオフ損失を最大15%、ターンオン損失を最大30%低減している他、2.1V(標準値:定格コレクタ電流、100℃時)にまで低下した飽和電圧(Vce(sat))が、高周波動作時(スイッチング周波数:20kHz以上)の電力損失を最小化する。また、ハードスイッチング回路での性能最適化に向けた、逆並列高速ダイオード内蔵のオプションを提供するとともに、フリーホイールダイオードを使用する回路での電力損失を最小化する。
さらに、堅牢性に優れ、定格電流の最大4倍の電流が流れた場合でもラッチアップ動作を起こさず、接合部温度150℃時の最小短絡時間は5μsとなっている。加えて、接合部動作温度が最大175℃にまで引き上げられたため、製品寿命が長くなり、システム冷却機構も簡略化される。そして、安全動作領域(Safe Operating Area)が広いため、高電力損失が避けられないアプリケーションでの信頼性が向上する。
この他、スイッチング動作時の波形がほぼ理想的であるため、競合する高周波数製品を上回る卓越したEMI(電磁干渉)特性を実現している。また、Vce(sat)の正温度係数に関し、製品間のパラメータ分布のバラつきが小さいため、高容量アプリケーションで並列動作させる場合も安全である。
なお、パッケージはTO-247。価格は1000個購入時で約2.18ドル。現在量産中。