構造計画研究所は6月17日、住友精密と共同で、秋田県大潟村の一部で水田の水位監視サービスの実証実験を6月中旬より行うと発表した。

秋田県南秋田郡大潟村は1977年に発足し、農家一件当たりの農地面積が全国平均の約10倍に相当する17.4haと広大な農業地であり、日々の見回りだけでも移動等による多大な時間を費やし、また、一戸あたりの農業スケールが大規模であるため、農作業スケジュールが過密性することもあり、農作業の効率化・省力化が求められている。

「水位監視サービスネットワーク」

構造計画研究所と住友精密は、ICTの技術を活用した施策の一つとして、構造計画研究所の農業向けモニタリングサービス「MS4A」と、住友精密の920MHz帯屋外無線ノードを組み合わせ、自宅や近所にいながらにして水位を常時監視するセンサネットワークサービスを共同で構築。今回、地元の農業法人である田中ファームと合田農場の協力のもと、水位監視サービスの有効性を評価する実証実験を実施する。

MS4Aは、農業分野に特化したクラウドベースのモニタリングサービスで、圃場や植物工場、ビニールハウスを始めとした様々な農業フィールドでのモニタリングを行う。また、屋外などの環境でセンサ情報を収集する際、電源の取得が困難な場所が多く、防水性を求められるため、住友精密は、新たに解放された920MHz無線周波数帯を採用した。

今回の実証実験では、観測点となる圃場(水田)1および2と、各圃場から6km以上の遠く離れた場所に位置する住居間での情報通信が必要となり、各圃場の水位データは、中継器を介しゲートウェイがある倉庫に収集され、インターネット経由でクラウド上のMS4Aサーバに送られる。また、各圃場では、電源が確保できないため、屋外無線ノードに付属した太陽電池によりセンシングや無線通信に必要な電力を確保する。

屋外無線ノード

利用者は、スマートフォンやタブレット端末の専用アプリ、PCのブラウザを用いてMS4Aサーバにアクセスすることで、いつでもどこでも圃場(水田)の水位等を確認できる。また、あらかじめ設定している監視条件が成立した時に(例えば、水位が5cm以下となった場合等)メールで通知をする機能を搭載しており、通常、農耕従事者が毎日頻繁に監視している水田見回りの労力や時間負荷を大きく軽減することを見込んでいる。

両社は、本実証実験を通じて、本サービスの実フィールドにおける有効性を検証し、商用サービス化を目指す。