ルネサス エレクトロニクスは6月17日、産業イーサネット通信LSI「R-IN32M3」シリーズのプラットフォームソリューションの一環として、IARシステムズの評価キット「IAR KickStart Kit」向けにパートナー企業の様々な産業イーサネット通信のプロトコルスタックを新しい開発プラットフォームとして提供を開始したと発表した。

産業イーサネット通信技術は、いわゆるスマートファクトリと呼ばれる工場の効率化に貢献できるネットワーク技術である。しかし、産業イーサネット市場においては、EtherCATやCC-Link IE、EtherNet/IP、PROFINETなど、複数の通信プロトコル規格が標準化されているため、産業機器メーカーが市場から要望されるプロトコルの実装、もしくは同一機器に対する複数プロトコルへの製品展開を行うにあたり、開発期間・工数の増大を招く原因となっていた。そこで、ルネサスは複数のプロトコルに1チップで対応する「R-IN32M3」シリーズを2013年1月に発表した。

「R-IN32M3」シリーズは産業分野向けの通信用LSIで、リモートI/Oやゲートウェイ、産業ドライブなどの産業機器におけるネットワーク化や、市場から要望されるプロトコルへの適応力により、顧客製品価値の向上に寄与する。今回、IARシステムズ製評価キットに各種プロトコルスタックを対応させることで、新たなプラットフォームの提供も開始することにより、より一層の開発効率の向上やタイムリーな製品開発に貢献することが可能になるとしている。

同評価キットには、小型で電源供給も可能なエミュレータ「I-jet Lite」や、「R-IN32M3-EC」を搭載した10.5×5.5cmサイズの小型評価ボード、ARM用統合開発環境「IAR Embedded Workbench」の評価版が同梱されており、煩雑なセットアップ作業をすることなく、同キットのみでシステム評価や開発をすぐに開始できる。

また、パートナー企業の協力のもと、「IAR KickStart Kit」上で各種プロトコルの通信動作を確認済みの、EtherCAT、EtherNet/IP、PROFINETといった産業イーサネットのプロトコルスタックのサンプルを順次、ルネサスの「R-IN32M3」製品情報のウェブサイトから無償でダウンロードできる。これにより、簡単に各種プロトコルの通信環境を確立できるため、システム開発期間の短縮が図れるとしている。