KVHは6月17日、東京、大阪、香港、シンガポールの100のデータセンター間をイーサネットで接続する「DCNet」サービスを、2014年8月から開始すると発表した。また、トラフィック需要の増減に応じて帯域を調整できるバースト機能も提供する。
接続するデータセンターは、同社運営するもの以外では、Equinix、KDDI、NTT、ソフトバンク、NTT Comなどのものが含まれる。
また、米国のデータセンター事業者であるCoresiteを通じて、米国のデータセンターとのネットワーク接続も提供。2014年8月のサービス開始時には100Mbps~10Gbpsのネットワーク回線の帯域を、2015年第一四半期には100Gbpsまで拡張し提供する。
同社がデータセンター間の接続サービスを提供する背景について、 KVH 代表取締役社長兼CEO 東瀬エドワード氏は、「今後は多くのアプリケーションやサービスがクラウドに移行すると予想されるが、クラウドの中心となるのはデータセンターだ。データセンターとの接続市場は、2017年には100億米ドル規模になると予想されている。データセンターとの接続においては、85%がユーザーとデータセンターとの接続で、残り15%がデータセンター間の接続だ。データセンターの数やデータセンター関連サービスの増加にともない、データセンター間のトラフィック量は年間およそ26%増加しており、これは3年で2倍になる計算だ。2017年にはデータセンター間のトラフィック量は530エクサバイトに達し、アジア地域において15億ドル市場になる予測されている。KVHはこのデータセンター間の接続ビジネスに焦点を当てようと思っている」と説明した。
「DCNet」は、BCP、データセンターの地理的な分散、事業拡大に伴うデータセンター利用の拡充を検討する企業などをターゲットにするほか、データセンター事業者向けに予備回線として利用してもらうことも視野に入れている。
サービス形態は、ポイント・ツー・ポイント、ポイント・ツー・マルチポイント、マルチポイント・ツー・マルチポイントの3種類となる。
サービス提供に当たっては、同社が各データセンターにおいて、コロケーションサービスを利用して、ネットワーク機器を設置する。
価格はトラフィックの月間利用量に応じた支払方法(Pay-As-You-grow)を採用するバースト型と、帯域保証型の2種類の料金体系で提供される。
バースト型では、最低料金としてDCNetポートの月額契約を支払い、従量課金部分は毎月のトラフィック利用量をメガビット単位の固定レートで支払う。
一方、拠点間の帯域保証型サービスは、一定の帯域で高い通信パフォーマンスを実現したい顧客に最適なサービスとなる。
契約体系としては、各国の大都市間でのサービス利用を対象とした「メトロDCNet」と、海外への接続サービス利用を対象とした「インターナショナルDCNet」の2種類がある。
KVH システムズ&テクノロジー本部 執行役員 濱田義之氏は、「DCNet」の特徴として、料金体系、拡張性、管理がシンプルであることを挙げ、「DCNet」を利用するメリットして、回線契約に付随する複数契約をKVHに一元化できる点、回線のアップグレードが容易に行える点、回線設備への高額な初期投資が不要になる点などを列挙した。
NTTコミュニケーションズのように、グローバルでデータセンター事業を行っている企業もあるが、同氏はこういった事業者に対するメリットとしては、ユーザーに新たな選択肢を提供できる点があるとした。