種子島から5月24日に大型ロケットH2Aで宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち2」の相乗りとして打ち上げられた超小型地球観測衛星「雷神2」は、順調に約630㎞上空の地球周回軌道を飛行し、姿勢制御試験などを実施して、地球の撮影試験に成功した。共同開発した東北大学と北海道大学が6月12日、その写真を公開した。各種の試験で搭載機器は正常に作動していることも確認した。
公開されたのは魚眼CCDカメラが撮影した地球画像の3枚。日本列島周辺の雲などを捉えた。魚眼カメラなので、解像度は低いが、気象観測衛星ひまわりの画像と比べると、雲の分布が一致していることがわかる。夜間の地球画像は、日本列島や、日の出の太陽によって地球大気が輝き始める様子を撮った。
雷神2は重さ43㎏。5mの解像度で地上を撮影でき、超小型衛星としては世界最高クラスの性能がある。東北大が2009年に打ち上げた雷神は電源系のトラブルで十分に機能していない。その経験を生かして改良がなされ、衛星バスシステムは東北大が、搭載機器は北海道大が担当して送り出した。森林計測や農業、漁業への衛星情報活用を目指している。
開発チーム代表の東北大大学院工学研究科の吉田和哉教授は「大学の衛星でも、宇宙に飛んで、科学的な研究に使えることを示したかった。雷神の初号機では、それが達成できずに、お預けになっていたが、この雷神2で当初の目標に近づきつつある。望遠鏡カメラなど全ての搭載機器の試験を実施して、7月にも本格的な科学観測に入りたい。今後も、撮影した画像を公開していく」と話している。
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