名古屋大学(名大)は、直径10nm程度のナノワイヤ構造体をクリスマスツリーのように形作る「ナノクリスマスツリー」技術を開発、同ツリーが複数のDNA分離メカニズムを併せもつ新しい分離素材であることを発見。この構造を活用することで、さまざまな大きさが混在するDNAを数秒で分離することが可能であることを示したと発表した。
同成果は、同大大学院工学研究科化学・生物工学専攻の馬場嘉信 教授と安井隆雄 助教、大阪大学産業科学研究所の川合知仁 教授らによるもの。詳細は英国「Scientific Reports」(電子版)に掲載された。
現在、さまざまな大きさが混在するDNAを解析するためには、分離したいDNAの大きさに適した分離素材を多種類用いる必要があるため、数十時間程度かかっており、この分離・解析時間の短縮が求められていた。
今回、研究グループは、直径10nm程度のナノワイヤをクリスマスツリーのように形成する技術を開発し、そのナノクリスマスツリーが複数のDNA分離メカニズムを併せもつ新しい分離素材であることを発見したという。実際に同ツリーを活用することで、従来は数十時間必要としていたさまざまな大きさが混在するDNAの分離作業が数秒で実現できることを確認したほか、ナノクリスマスツリーが生み出す固い壁で囲われたナノ空間とその大きさを人為的にコントロールできることが、異なる大きさのDNAを高速で分離できる鍵となっていることも発見したという。
なお、研究グループでは、今回の技術を活用することで、将来の疾病などに関連するDNA情報の高速解析が可能になるとコメントしている。