横浜市立大学は6月10日、島津製作所と共同開発したアンビエントイオン化質量分析向け小型イオン源が製品化されたと発表した。
同成果は、同大大学院 生命ナノシステム科学研究科の高山光男教授、関本奏子助教らによるもの。
同製品は開発した小型イオン源を特徴としており、製品化は解析/分析技術の開発、およびそのツールを提供しているエーエムアールが行い、販売が開始された。製品名は「Corona ++」。既存のアンビエントイオン化質量分析法であるリアルタイム直接分析(Direct Analysis in Real Time:DART)法と組み合わせた場合、測定する化合物の検出感度が10倍以上、化合物の種類によっては1000倍ほど向上する。
同製品により、今まで研究室や大掛かりな装置のある施設でしか測定できなかった医薬品、食品、農産物、環境に存在する極微量な化学物質がその現場において検出することが可能になる。さらに、持ち運び可能な小型の質量分析計に取り付けられることで、様々な化合物検出への応用が想定される。例えば、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因となる化学物質をその現場で分析することが可能となる他、果物や野菜などの農産物に付着した残留農薬の検出、空港などにおいて衣服に付着した微細な麻薬物質の検出など、日常生活の安全・保全に応用されることが期待されるとコメントしている。