Texas Instruments(TI)は6月12日、エントリ~中級クラスの車載インフォテインメント製品向けに、Jacinto 6プラットフォームSoC「DRA72x」を発表した。

同製品は、高い統合性のオーディオ、同時に動作するマルチメディアストリーミングやデバイス間のコネクティビティを、エントリクラスからミッドクラスの幅広い車種に供給できる。具体的には、H.264 1080p解像度のビデオを60fpsでデコードするIVA-HDビデオコプロセッサを搭載、標準のマルチメディアの同時ストリーミングと、BYOD(Bring Your Own Device)へのコネクティビティを実現する。さらに、DSPによってANC(可聴ノイズ消去)、音声強調や、オーディオのポスト処理アルゴリズムなどのサポートの他、複数の音声機能を体験できる。また、ARM Cortex-A15 CPUのリアルタイム、割り込み処理を多用するタスクの処理負荷を軽減するARM Cortex-M4を内蔵した他、DCAN、Ethernet AVB、MLB(MOST Media Local Bus)、PCIe、USB2.0/3.0などの車内コネクティビティ用ペリフェラル群を統合するなど、従来のJacinto SoCファミリによる車載向けアプローチを、そのまま受け継いでいる。この他、TIのWiLink 8Q Wi-Fi、Bluetooth、GNSS内蔵コンボコネクティビティ製品ファミリとも動作し、即時使用に対応する車載向けインフォテインメント製品を提供する。

そして、ARM Cortex-A15デバイス群のソフトウェアとハードウェアの互換性によって、多様な製品ポートフォリオが提供される。今回のJacinto 6 Eco製品ファミリの追加によって、シングルまたはデュアル構成のARM Cortex-A15コアで2800DMIPS~1万DMIPS以上の処理性能の他、Imagination TechnologiesのシングルまたはデュアルのPOWERVR SGX544-MPxグラフィクスコアと、車載向けペリフェラル群が提供される。さらに、シングルとデュアルの外部メモリインタフェースと、異なるクロック周波数のプロセッサによって、より高いスケーラビリティが実現する。このことで、エントリ・ミッドクラスから高級車までの幅広い車種にわたって、同じプラットフォーム上で、同レベルの投資で製品を開発でき、コストの削減や市場投入期間の短縮が実現する。

この他、Jacinto 6 Ecoプロセッサ製品では、ソフトウェアで定義可能な、柔軟なアーキテクチャのDSPを統合したことで、AM/FM/RDS、HD Radio、DABやDRM向けの低価格のマルチチューナラジオソリューションが提供される。また、Jacinto 6 Ecoをサポートする、QNX、Linuxや Androidなどの高レベルOSを含むツール群、ソフトウェアや、エコシステムを使うことで、製品設計が容易になり、市場投入時間を短縮できる。

なお、「DRA72x」は現在サンプル出荷中で、量産出荷は2015年前半の予定。