日本HPは、「Interop Tokyo 2014」の基調講演のため、米HP エンタープライズグループ HPネットワーキング クラウドネットワーキング & SDN ディレクターサルワル・ラザ(Sarwar Raza)氏が来日したのを記念して、SDN最新動向に関するメディアラウンドテーブルを開催した。
同氏は、オープン・ネットワーキング・ファウンデーション ノースバンドインターフェース ワーキンググループ議長も務めている。
同氏は冒頭「HPでは、クラウド、セキュリティ、ビッグデータ、モビリティというITの大きな流れに対応するため、耐障害性の高いファブリック『Converged Infrastructure』、ネットワークの仮想化『Converged Cloud』、新たな技術であるSDNに注力している。企業は現在、ネットワークが複雑で、変更・展開に時間がかかる、ネットワークの変化スピードについていけない、ネットワークがコストセンターになっているという課題を抱えている。そのため、クラウドを有効活用できていない。これを解決するのがSDNで、SDNなくして、クラウドはない」と、SDNはクラウドにおいて必須の技術だと訴えた。
そして、「顧客が求めているのはシンプル性で、HPはこれに対して、単一のプラットフォームで実現できる機能を提供していく。これは、OSを統一し、管理を一元化することにより可能になる」と指摘した。
同氏はSDNにおいてはオープン性が極めて重要であり、同社がオープン化に対して積極的に活動している点を次のように説明した。
「HPはオープン化に注力しており、ONF(Open Networking Foundation)では設立時からのメンバーで、OpenFlow、Northbound APIという2つのワークキンググループの議長を務めている。また、NFV(Network Functions Virtualization)ではリーダーシップを発揮しており、OpenStackで設立時からのメンバーで、OpenDaylightのプラチナメンバーでもある。われわれの製品はOpenStackをベースにしており、われわれのクラウドはOpenStackのクラウドだということができる」
さらに、「SDNにはアプリケーション、コントロール、インフラストラクチャーという3つのレイヤに分けられているが、HPでは、それぞれをつなくAPIでできるかぎり標準を採用するアプローチを取っている。これにより、ユーザーには幅広い選択肢を提供でき、パートナーはそれぞれのレイヤに対してソリューションを開発できる」と述べた。
また、同氏は米国ラスベガスで開催されているプライベートイベント「HP Discover 2014 Las Vegas」で発表した新たな製品についても言及。
「われわらが提供したいのは、現在のデータセンターのネットワークから未来のデータセンターにどう橋渡ししていくかだ。そのために、顧客のクラウドへの移行をサポートするコンサルティングサービス「HP Trusted Network TransFormation」や統合型のネットワークのオーケストレーション「HP Virtual Cloud Networking SDNアプリケーション」を新たに提供する。また、「HP Flexfabric 7900」スイッチも提供する」と語った。
これらは、国内では7月末に提供される予定だという。
「HP Trusted Network TransFormation」では、まず、ワークショップで顧客の現状を捕らえ、ニーズを把握。そして、アセスメント・分析、戦略と計画の立案、検証などのサービスを提供するという。
また、「HP Virtual Cloud Networking SDNアプリケーション」は、HP Helionのネットワークの部分を最適化するソリューションで、実態はOpenStackのNeutronというネットワークコンポーネントに、エンタープライズ向けのHP独自の機能を追加したもの。OpenStackで構築したインスタンスとSDNの仮想ネットワークを連携するものだという。
同氏はHPが提供するSDNのメリットについて、「SDNで重要なのは、オーバレイネットワークで、HPではVMware NSX向けのソリューションを提供している。これにより、VMwareが提供のシステムを利用しながら、ネットワークの仮想化を行うことができ、クラウドの自動化が可能になる。しかも、追加のハードウェアを必要としない。これが、競合他社に対する大きなメリットだ」と述べた。