森下仁丹は6月9日、同社独自素材「ザクロエキス」に、長寿遺伝子活性化作用に基づく皮膚老化抑制および脂肪肝特性作用があることを発見したほか、その生体内での抗糖化作用を実証したと発表した。
同成果は同社ならびに九州大学の片倉喜範 准教授、城西大学の和田政裕 教授らによるもの。詳細は「第14回 日本抗加齢医学会総会」にて発表された。
具体的には、長寿遺伝子として知られるサーチュイン遺伝子「SIRT1」の活性化作用が認められているザクロエキスのポリフェノール成分について、皮膚細胞(HaCaT細胞)を用いて検討を行った結果、4種類のザクロ由来ポリフェノールがSIRT1の発現を増強させることを確認。皮膚の抗老化に有用である可能性がしたという。また、ヒトの肝臓由来の細胞「HepG2」にパルミチン酸を作用させると、人工的な脂肪肝状態が再現できることが知られているが、前もってザクロ由来ポリフェノールで処理したところ、パルミチン酸による細胞内の脂肪の蓄積を抑えることも確認。ザクロ由来ポリフェノールが、サーチェインを活性化させることで細胞の老化を抑え、その結果、脂肪酸の合成が抑えられた、というメカニズムが推定されたとする。
さらに、これまでの研究から、試験管内で強い抗糖化作用を示したザクロエキスが、生体内でも同様の作用を発揮できるのかどうかを、糖尿病モデルマウスを用いて調べたところ、血糖値は変化しなかった一方、血液中の糖とタンパク質が反応(糖化)して生成される最終糖化産物(AGEs)の濃度が減少することが確認されたという。
なお同社では、これまでの生薬研究のノウハウを活用すした健康に役立つ素材の研究開発を今後も確かなエビデンスのもと提供することを目指し、研究を進めていく方針としている。