伊藤園は、茶カテキンのコレステロール吸収抑制メカニズムの一部を解明したと発表した。

同成果は、同社ならびに東北大学大学院農学研究科の池田郁男 教授、静岡県立大学大学院薬食生命科学総合学府の熊澤茂則 教授らによるもの。詳細は米国化学会の学術誌「Journal of Agricultural and Food chemistry」に掲載されたほか、「第68回 日本栄養・食糧学会大会」でも発表された。

同社はこれまでの研究から、緑茶に含まれるカテキン類、特に「ガレート型カテキン」に血清コレステロールを低下させる作用があることを報告しており、そのメカニズムとして、ガレート型カテキンがコレステロールと結合することでコレステロールの溶解性を低下させ、コレステロールの吸収を抑制するという考えを示していた。今回の研究では、具体的に、どのようにガレート型カテキンとコレステロールが結合するのかの解明に向けた研究が行われた。

研究では、食事などで消化管に流入したコレステロールは、消化管内に分泌される胆汁酸とホスファチジルコリンとともに胆汁酸ミセルに溶解してはじめて吸収されることから、胆汁酸ミセルへのコレステロールの溶解性を下げることができれば、コレステロールの吸収が下がるという予測から、人工的に胆汁酸ミセルを作成し、コレステロールの溶解性について、エピガロカテキンガレート(主要なガレート型カテキン)の影響を調査したという。

この結果、エピガロカテキンガレートが胆汁酸ミセルへのコレステロールの溶解性を下げるには、主要なリン脂質の一種「ホスファチジルコリン」が必要であることが判明したほか、胆汁酸ミセル中でエピガロカテキンガレートとホスファチジルコリンが結合していることを確認したとする。

ただし、エピガロカテキンガレートとコレステロールが直接結合するという知見は得られなかったとのことで、エピガロカテキンガレートがコレステロールと結合することでコレステロールの吸収を抑制するという従来の説が正しくなかったことが示されたとのことで、新たにエピガロカテキンガレートは、ホスファチジルコリンと結合することでコレステロールの吸収を抑制するという説を提示したという。

なお、研究グループでは、エピガロカテキンガレートとホスファチジルコリンとの結合が、なぜコレステロールの胆汁酸ミセルへの溶解性を低下させるのかが不明となっていることから、今後も研究を進めていく方針としている。

従来説(左)と今回の知見から提唱された新たな説(右)