富士通研究所は6月10日、ドライブレコーダとして、車両に搭載される広角カメラに適用可能で安全運転を支援する車線逸脱警報の技術を開発したと発表した。

近年、交通事故低減に向けて路外逸脱を抑制するための車線逸脱警報を、商用車を中心に普及が進むドライブレコーダの広角カメラを用いて実現することが望まれていた。しかし、従来の車線逸脱警報の技術は白線を遠方まで広く映せる狭角(望遠)カメラを必要としており、近方の部分的な白線しか映らない広角カメラでは車線を正しく検出できず、要求される警報性能を満たせないという課題があった。

今回、路面の部分的な白線に対して走行のふらつきに伴う位置ずれを補正し、複数の路面画像を滑らかにつなぐことで路面全体の正しい車線形状を推定する車線認識技術を開発し、広角カメラでも狭角カメラを用いた専用機と同等以上となる95%の警報性能を持つ車線逸脱警報を実現した。同技術により、新たに専用カメラを設置しなくても、ドライブレコーダに走行時の予防安全機能として車線逸脱警報を追加できるとしている。

富士通研究所では、ドライブレコーダなどへの車線逸脱警報機能の搭載に向け、2014年度中に同技術の実用化を目指す。さらに、走行時の安全支援として運転者への警報だけでなく、ドライブレコーダで取得される走行逸脱状態による運転リスク分析への応用も視野に入れて、同技術の研究開発を進めるとコメントしている。

広角カメラの解像度不足を補うために、時系列の路面映像から得られた複数の白線画像を用いて路面全体の正しい車線形状を推定する白線検出技術の1つである道路幅補正による多重線路対応方式。多重線路で敷設される内側の補助線は、実際の車線と平行に一定距離内側に敷設されることに着目し、内側の補助線を用いて"仮の車線形状"を推定しておく。走行に伴い実際の車線が自車両の近くに位置して大きく映る場合に、計測した補助線と車線とのずれ量を用いて、仮の道路幅を補正し、正しい車線形状を推定する