IDC Japanは6月10日、国内中堅中小企業(従業員規模999人以下)IT市場の2014年から2018年の予測を発表した。

それによると、2014年の国内中堅中小企業IT市場においては、「アベノミクス」によって国内経済が堅調に拡大していることから、業績が改善する中堅中小企業が増加しているが、前年のPCの更新需要の反動もあり、市場規模は3兆5,665億円で前年比マイナス0.8%と小幅ながらマイナス成長を予測している。

2014年の国内経済において改善傾向が継続していることから、多くの中堅中小企業で業績が回復しており、これまで凍結していたシステム刷新、新規開発が中堅企業、一部の中小企業で開始されている。なお、同年4月に「Window XP」のサポートが終了したことから、その対応のため中堅中小企業でも2013年にPCの更新需要が大幅に増加。

2014年も小規模企業を中心にPCの更新が継続しているが、中堅中小企業全体では前年の反動によって大幅に減少。また、同年4月に実施された「消費税増税」による消費減速の懸念から、流通業、サービス業などでIT支出が抑制傾向となっている。したがって、2014年の国内中堅中小企業IT市場はマイナス成長となるが、2015年には業績が改善する中堅中小企業が更に増加し、多くの企業でシステム刷新が開始されることから、プラス成長に回復を予測している。

国内の中堅中小企業、大企業を合わせた営利企業を年商規模別で分析した場合も、年商規模300億円未満の企業(従業員規模別で999人以下の中堅中小企業の多くが含まれると想定)の2014年のIT支出規模は3兆2,790億円で、前年比成長率は同様にマイナス0.9%を予測しているが、2015年以降は、年商規模300億円未満の企業でシステム刷新が本格化することからプラス成長への回復を見込んでいる。

国内企業向けIT市場 前年度比成長率予測:年商規模別(2013年~2018年) 資料:IDC Japan

IDC Japanの市村 仁氏は「ITベンダーは、ユーザー企業からの売上を維持、拡大させるためには企業の経営課題に寄与する付加価値を積極的に提案することが求められる」と分析している。