ニプロは6月9日、内表面からのアルカリ溶出リスクを抑えたガラスバイアル「VIALEXR」の開発に成功し、新工場である「びわこ工場」の操業開始に合わせ、2014年8月より生産を開始することを発表した。

医薬用ガラス容器であるバイアルは、中性ガラスと呼ばれるホウケイ酸ガラス管を2次加工して製造されるが、その際、バイアル底部が高温に加熱され、ガラスから揮発したアルカリホウ酸塩の蒸気が、バイアル内表面の底部近くに凝縮してガラスに蒸着することにより加工劣化域を形成。同加工劣化域は、充填する薬液製剤の種類によってはデラミネーション(ガラス組織の剥離による薬液汚染)を誘発し、長期保存の安全性を損なうおそれがあることがしられていた。

「VIALEXR」は、成形ラインにファイアーブラスト工程を組み込むことで加工劣化域を除去することに成功。これにより、安全性が向上したほか、アルカリ溶出の低減が可能となり、既存の薬液である注射剤だけではなく、次世代の微量、高付加価値である注射剤に対しても安全性の高いガラス容器として利用することが可能になったという。

具体的には、アルカリ溶出は、医薬ガラス容器内表面の耐加水分解性における国際規格ISO4802規格の20%以下となったほか、ケイ素の溶出リスクが最小かつ内表面欠陥を最小化することに成功したという。なお同社では、具体的な医薬品についての耐久性評価は個々に検討するとしているが、充填容量2ml~10mlに対応する医薬用容器として高い信頼性が期待されると説明している。

内表面からのアルカリ溶出リスクを抑えたガラスバイアル「VIALEXR」のイメージ