テルモは6月6日、100%子会社のテルモ・クリニカルサプライが、抗がん剤の持続的投与や中心静脈栄養に用いられる植込み型薬液注入システム「DewX」Sタイプを発売したと発表した。

植込み型薬液注入システムは、皮下にポートを植込むことによって、毎回、血管に直接針を刺さずに、薬液を投与できるため、痛みや血管の損傷の軽減が期待できる。このようなメリットから、近年は、がん治療における外来化学療法や在宅での中心静脈栄養の普及により、使用機会も増加している。しかし、一方で、植込み時の誤穿刺やカテーテルの閉塞、感染などのトラブルも増加し、より安全なシステムへのニーズも高まってきている。「DewX」は、安全な医療を提供するというコンセプトの下、植込み時や管理時に発生する医療事故や合併症のリスクを低減することを目指し設計されている。

今回、発売中の前胸部用Mタイプに加え、上腕・前腕部用のSタイプをラインナップした。ポートを小型化したことで、身体の小さな患者のQOL向上にもつながるという。また、誤穿刺のリスクを低減するため、超音波ガイド下でも針先が見えやすい超音波対応穿刺針、空気塞栓のリスクを低減するため、空気の引き込みを防止する弁付シースを採用した。さらに、血漿タンパク質の吸着を抑制し、それに起因した合併症のリスクを低減するため、血液適合性に優れたXコーティングをポート内面、およびカテーテル内外面に採用している。

なお、同シリーズで2014年度に1億3000万円の売り上げを目指すとしている。

長期的使用注入用植込みポート