川崎重工業は6月9日、東京モノレール向けに、停電時の非常走行を目的とした鉄道システム用地上蓄電設備を世界で初めて納入したと発表した。
今回納入した蓄電設備は、停電で駅間に停止した電車を最寄り駅に自力走行させるための電力を供給する設備で、自社開発の大容量ニッケル水素電池「ギガセル」20モジュール×2並列で構成されている。
蓄電設備が品川変電所と多摩川変電所に導入されることで、朝のラッシュ時に上下線35.6km全線で最大17編成が駅間に停車したとしても、最寄り駅へ乗客を安全に移動させることが可能になる。
ギガセルは、高速充放電が可能で負荷応答性能が高く、安全性に優れたニッケル水素電池。これまでの鉄道用電力貯蔵設備は、電車の停止や減速の際に発生する回生電力を充電し利用する省エネルギーが目的だったが、ギガセルの大容量・高速充放電性能により、営業運転での蓄電池による停電時非常走行を可能にした。
加えて、ギガセルは、チョッパ装置などの電力変換装置や制御装置がなくても電線と直結できるため、設備の低コスト化と小型化を実現しているほか、制御装置等を介さないため制御遅れや変換損失がなく、高い省エネ効果が得られる。