Infineon Technologiesは、2枚の垂直ホールプレートを搭載したホールセンサ「TLE4966V」を発表した。

これまで、回転方向と回転速度の情報を得るには、2つのセンサが必要だったが、同製品は、1つのデバイスでこれに対応する。この結果、センサコストが平均30%削減され、テスト、組立時間が最大50%短縮される。また、消費電力は4mA~7mAで、電力重視の電子車載用システムだけでなく、エスカレータや電動カーテン/ブラインドにも適している。同社は、車載用センサにおいて、従来製品の「TLE4966」により、自動車の電動ウィンドウリフトでの業界標準を確立しているという。

具体的には、2枚のホールプレートの方向を水平方向から垂直方向に変えている。これにより、センサパッケージ面に平行な磁界を検出し、回転方向、回転速度に関する情報が得られるという。これまで、こうした作業には、2つのセンサが必要だったが、1チップ上に集積された。2枚の内蔵垂直ホールプレートは、製品寿命全体を通じ、温度とストレス動作が同じで、感度が変化することもないという。

また、2枚のホールプレート間には距離があるため、指定した任意の時間で、微妙に異なる信号が検出される。そして、回転方向が変わると、位相差の極性が変化する。同製品は、こうした変化を検出し、これに応じた信号を提供する。さらに、2つの信号出力があり、1つはポールホイールの回転方向を、もう1つは帯磁したポールホイールの回転速度を検出する。この信号は、磁場の極性が変化するごとに送出される。

さらに、オンチップで信号処理を実行するため、わずか20μs以内で情報が得られるのに加え、マイコンのプログラミングが必要なくなる。これに伴い、プログラミングのエラーが発生せず、システムの品質が向上するとしている。この他、定電圧化されていない電源での動作が可能で、3.5V~32Vのシステムに対応する。

なお、パッケージは6ピンTSOP。6月より量産出荷を開始する。