国際的な情報サービス企業のトムソン・ロイターが6月4日、「2013年版技術革新リポート」を発表して、「世界の特許動向が不況による低迷期から脱出したことがうかがえる」と報告した。

グラフと表. 2013年特許活動の主要12技術分野の概況(提供:トムソン・ロイター)

同社が、成長の著しい12の主要技術分野で、企業の特許活動から世界の技術革新の動向を分析した。昨年1年間に取得された登録特許と公開特許データの集計では、前年比26%の増加となった。この増加率は、調査を始めた2009年からの5年間で最大だった。バイオテクノロジーを除く11分野で前年より増加した。

特に、自動車、石油,家電の3分野はいずれも前年比35%増を記録し、飛躍した。自動車では、座席、シートベルト、エアバッグなどの安全性関連の特許が、代替燃料開発のための水圧破砕技術が注目される石油では調査、採掘、処理関連が、家電では台所関連の技術革新が目立った。

新興国では、中国とロシアの特許活動の伸びが著しく、大学や研究機関による特許が急増した。出願特許数を増やすという国策のもと、中国などが生産国から技術革新国に移りつつあることを示した。

5年連続して特許件数が断トツで最多となったのはコンピューター・周辺機器の分野で、13年には30万件を超える特許があった。2位の電気通信分野の特許数(12.6万件)の2倍以上になった。唯一前年比で3%減ったバイオテクノロジー部門で、成長率が最も低かったのは新薬発見の分野で、25%もの大幅な減少となり、新薬開発が特許数で減速した。

このリポートは技術分野ごとに特許出願の上位10社のランキングも示しており、各社の開発力を評価するのに役立つ。日本企業は世界の上位10社のうち、自動車の代替動力部門で7社、発酵技術で6社、コンピューター・周辺機器、家電、医療機器、半導体でそれぞれ5社を占めるなど、なお高い技術力を示した。代替動力自動車開発の総合1位はトヨタ自動車で、特許数で2位のホンダの4倍に当たる2520件に上り、前年の実績を52%も上回り、特許に限ればトヨタの独走が際立った。