東京都・恵比寿の東京都写真美術館では、ピンホール・カメラや長時間露光などを駆使して独創的な写真表現に取り組む写真家の個展「佐藤時啓 光-呼吸 そこにいる、そこにいない」を開催している。開催期間は7月13日まで、開館時間は10:00~18:00(木・金は20:00まで)。観覧料は一般700円、学生600円、中高生・65歳以上500円。
同展では、佐藤のさまざまな試みによってもたらされたプリント作品を中心に、代表作のひとつである「光―呼吸」シリーズや移動式のカメラ・オブスクラ(真っ暗な箱状の部屋に針穴を開け、外の景色が上下反対に映し出されるという現象を使った光学装置)による最新作など99点をニュープリントで展示。初期から現在までの作品を紹介する、初の大規模個展となっている。
また、佐藤の代表作である「光―呼吸」シリーズは、レンズの前に広がる風景の中を作家自身が鏡を持って歩き回り、鏡に反射する光と移動の軌跡をフィルムに定着。長時間露光によって捉えられた風景の中に点在する光が、写真ゆえに見ることが可能な不思議な世界を創り出すというものだ。
シリーズ<光-呼吸>より《#347 Hattachi》1998年 インクジェット・プリント 東京都写真美術館蔵 |
シリーズ<Gleaning Lights>より《The Site 2 Holes》2005年 インクジェット・プリント 作家蔵 |
なお、佐藤時啓(さとうときひろ)は1957年山形県生まれの写真家。光・時間・空間・身体をテーマに、1980年代後半から国内外で活動している。光が小さな穴を通じて像を結ぶという基本的な原理への興味や驚きを出発点に、ピンホール・カメラやカメラ・オブスクラ、長時間露光を用いた制作を展開している。