STMicroelectronicsは6月5日、オンライン対応のみの一般的なカードから非接触型決済用デュアルインタフェースカードまで幅広いアプリケーションに対して最適化されたセキュアICファミリ「STPay」を発表した。
EMV(Europay、MasterCard、VISA)準拠セキュアICを内蔵したChip-and-PINカードは、従来の磁気ストライプカードと異なり、データのセキュアな格納・処理が可能で、事実上、複製が不可能である。このカードは、2000年代半ばに欧州の決済システムに導入された。EMV技術の導入によって、偽造、紛失、盗難カードによる不正行為が減少したほか、世界中で磁気ストライプカードによる決済が減少する中、この最新のセキュアIC搭載カードにより、米国内のカード保有者の海外旅行中の決済が簡略化されるという。
同製品は、90nmプロセス技術を採用したセキュアICをベースとしており、すべての主要決済システムに対応する完全な認定済み決済アプリケーションが実装されている。また、柔軟性に優れた競争力のあるポートフォリオを提供することで、米国におけるEMV対応カードへの切替をサポートする。
具体的には、接触型カード(オンライン/動的データ認証)から高性能デュアルインタフェースカードに至るまで、米国内のすべての決済カードに対応している。また、接触型クレジット/デビットカードソリューションは、同一のセキュアIC上に、VISA、MasterCard、Amex、Discoverの4つの主要決済アプリケーションを搭載している。これにより、カードメーカーおよびカード発行会社のコストが削減され、マルチアプリケーションのサポートに必要なロジスティックスと個別設定スクリプトが簡略化される。さらに、デュアルインタフェースに対応し、高性能32ビットセキュアコアARM SecurCore SC000、および業界標準のISO14443A非接触型インタフェースを採用するとともに、最大38KBのEEPROMを内蔵しており、非接触型およびNFC対応POS端末を使用した取引を迅速化する。そして、5種類のデュアルインタフェースアプリケーションのうち2種類は、実績のある非接触型のSPS Ebooster技術の使用が認定されている。加えて、非接触型インタフェース用のその他のアンテナにも対応している。
この他、「STPay」の全製品が、Global Platform、Visa Open Platform(VOP)およびCard Personalization Specification(CPS)規格に準拠しているため、業界標準の個別設定システムを使用して発行することが可能となっている。
「STPay」は、Datacard GroupのCard Validation Program(CVP)にもPlatinumレベルで加わっている。Datacard GroupのSmart Card Profile Managerの顧客は、「STPay」用スクリプトを表示価格の最大30%割引で入手することが可能。これにより、発行銀行と提携するローカルカードメーカーは、コストを低減し、スクリプトの開発・認定期間を短縮することができる。