労務行政研究所は6月5日、「国内・海外出張旅費に関する実態調査」の中から、国内出張におけるグリーン車の利用と海外出張における航空機の利用等級基準、最近3年間における国内出張費用の削減状況の調査結果を発表した。

在来線特急および新幹線のグリーン車利用を、上級者や顧客随行、座席の確保が困難、病気、やむを得ない場合などの特別なケースを除き、通常の昼間の出張において認めているかを尋ねたところ、役員では、在来線特急、新幹線ともグリーン車を「認める」割合はほぼ同じで、おおむね「社長(70%)」、「専務(57~59%)」、「常務(55~56%)」、「取締役(49~51%)」となり、取締役の新幹線以外は「認める」が半数を超えた。

バブル経済が崩壊したが、まだ出張費用の削減が本格化していなかった92年調査と比較すると、「認める」が減少し、その分「認めない」が増えていることが顕著となった。

例えば社長の場合、92年には「認める」が在来線特急で91.0%、新幹線で87.5%と9割前後を占めていたが、今回14年調査では、それぞれ7割程度にまで減っている。その分、「認めない」は在来線特急で4.8%から25.3%、新幹線で6.5%から25.5%と大きく増加した。

従業員は、いずれも「認めない」が8~9割台で最も多く、92年調査と比べると、役員と同様、「認める」が減少し、「認めない」が大幅に増加しており、例えば部長級では、「認めない」は在来線特急で43.8%から87.2%、新幹線で64.6%から91.8%と増加した。

「国内出張におけるグリーン車の利用基準の推移」 資料:労務行政研究所

海外出張における航空機の利用等級の基準も、役員はいずれの役位においてもビジネスクラスが最も多く、社長で41.5%、専務以下で53.2~55.0%だった。社長の場合、次に多いのはファーストクラスで、25.1%と4社に1社を占めた。しかし、専務以下ではエコノミークラスが2割台を占め、ファーストクラスは1割未満にとどまった。

一方、従業員ではエコノミークラスが77.2%~87.4%で大半を占め、ファーストクラスを認める企業は皆無で、部長級でもビジネスクラスは13.6%にとどまった。

「海外出張における航空機の利用等級基準の推移」 資料:労務行政研究所

国内出張費用について、最近3年間(おおむね11年以降)に「削減した」企業は、33.6%と3社に1社だった。過去に行った調査と比較すると、00年調査では、99年~00年5月の間に国内出張費用の削減を行った企業が50.4%、11年調査では、おおむね08年以降の3年間に削減を行った企業が48.3%で、いずれも半数程度に上っていた。

集計(回答)企業は異なるが、今回14年は33.6%で、出張費用削減の動きはやや落ち着いた感がある。「削減した」場合の内容として最も多く挙げられたのは、「日当の見直し」で43.4%。以下、「宿泊料の見直し」35.5%、「テレビ・インターネット会議の導入・活用」30.3%と続く(複数回答)。