東京都・外苑前のワタリウム美術館では、ゲーテ研究家、人智学の創始者、哲学者、そして日本では教育者として知られているルドルフ・シュタイナーについて3つのアプローチで迫る「ルドルフ・シュタイナー展 天使の国」を開催している。開催期間は7月27日まで、開催時間は11:00~19:00(水曜は21:00まで)。入場は大人1,000円、学生(25歳以下)800円、ペア券大人2人1,600円、学生2人1,200円(いずれも、会期中何度でも入場できるパスポート制チケット)。

黒板ドローイング 月と地球 1921年4月1日

シュタイナー建築/第二ゲーテアヌム内観 大ホール 撮影:鈴木理策

同展は、シュタイナーの多岐にわたる活動をさらに知るために、以下の3つのアプローチによって構成されている。ひとつめの「黒板ドローイング」は、農民や労働者、学者たちに向けて行なった講義の際に用いたもので、1919年から6年ほどの間に描かれたおよそ1,000点ものドローイングの中から、晩年の24点を展示。これらは、"思考する絵"というアートの新しいフィールドとして、近年、世界で注目を集めている。

また、ふたつめの「シュタイナーの建築とデザイン」では、彼の設計で1913年に着工されつつも1922年に火災で消失した幻の建物「第一ゲーテアヌム」を約300点のドキュメント写真や模型で紹介し、また、ガラス窓のための28点の習作ドローイングも日本で初公開。さらに、シュタイナー自身がデザインし、現在も使用されている家具やランプなどさまざまなアイテムを展示し、思想から日常まで広がるシュタイナー哲学の実践を検証している。

最後は、ドルナッハの丘に現存する「第二ゲーテアヌム」と周辺の一群の建物を、坂口恭平のジオラマと同展のために撮りおろした最新のハイビジョン映像や写真家・鈴木理策による写真などで紹介しているほか、現在最も注目すべきアーティストであるオラファー・エリアソンもシュタイナー思想から大きな影響を受けており、今回、エリアソンデザインによる「オロイド・ライト」も展示されている。

さらに、7月上旬にはカールステン・ニコライによるパフォーマンスが開催予定。日程などは展覧会のWebサイトを参照してほしい。なお、ワタリウム美術館ではこれまでにも、「黒板ドローイング展」(1996年)、「100冊のノート展」(2002年)というふたつのシュタイナー展を開催している。