平仮名、カタカナ、漢字を組み合わせて使う日本語。その入口となるのが平仮名です。幼児はもちろん来日した外国人が最初に触れる文字でもあります。垂直や平行になる直線が少なく初心者にはバランスが取りにくい点もありますが、日本語の流麗さが感じられるフォルムであるとも言えます。
そこで今回は、日本在住の外国人20名に「日本の平仮名でデザインがかっこいいと思うものは?」という質問をしてみました。
■あ(ベトナム/30代前半/女性)
■あ(ポーランド/20代後半/女性)
■あ(ブラジル/50代前半/女性)
「かわいいと思う平仮名は?」という質問でも挙げられていた「あ」。50音の最初に学ぶ文字でもあり、そうした親しみ深さも込めた上での評価なのかもしれません。ちなみに、日本語を習い始めた人向けにはビジュアル化して形を覚える方法もあり、「あ」は屋根の上にあるアンテナが充てられているのだとか。
■め(シリア/30代前半/男性)
■の(スリランカ/50代後半/男性)
■の(ペルー/40代後半/男性)
「あ」、「め」、「の」といった上記3つの平仮名は、下部に近いパーツがある文字。丸みを帯びたはらいや形が楕円のようで落ち着いた印象を与えるのかもしれません。一部の辺を突き出すか否かで異なる文字になるのはアルファベットも似た所がありますが(a、dなど)、より複雑な平仮名は完全に覚えるまでが大変そうです。
■を(中国/30代前半/女性)
■ゑ(アメリカ/30代後半/男性)
■み(韓国/40代後半/男性)
■ひ(イギリス/40代後半/男性)
ボールが描く軌跡のように弾んだ、もしくは鋭角的な動きをする辺をもつ文字いろいろ。「を」や「ゑ」、また「み」は草書体などでは美しい略字になりますが、その趣を楷書にも残した文字です。舞を踊る人のような流麗さが感じられ、そうした伝統的な優雅さを含めた上でのかっこよさとも言えそうです。
■は(トルコ/20代後半/女性)
■ね(イタリア/30代後半/女性)
■す(スウェーデン/40代後半/女性)
■こ(インドネシア/30代前半/女性)
全体的に見て正方形や三角形のバランスに近く、比較的書きやすいと思われる文字です。回答にある「は」は「波」、「ね」は「祢」、「す」は「寸」、「こ」は「己」といった漢字を字源としています。
■ら~めんがかっこいいと思います。(オーストラリア/40代前半/男性)
■とうきょう(スペイン/30代後半/男性)
単語の回答もいくつか。B級グルメとして外国人にも人気が高いラーメンは、店舗により回答のような平仮名表記になることもあります。また、音引きが波線になる場合もあり、そうした独特な要素がかっこよさへとつながっているのかも。一方の「とうきょう」は、日本の首都という街の印象を含めた回答と言えそうです。
■居酒屋の書道っぽいフォント。(フランス/30代後半/男性)
■筆で描かれたものがきれいに見えます。(ロシア/20代後半/女性)
先ほどの「ら~めん」にも通じますが、筆文字の平仮名は確かに迫力があります。よく見る相撲字や寄席文字、芝居文字などは江戸文字の一種ですが、これはそれぞれ伝統芸能の文化背景の中で生み出されたもの。かっこいい、という印象を受けるのも当然と言えるかもしれません。
平仮名やカタカナ、私たち日本人にとっては身近な文字も、外国の方々が受ける印象はさまざまです。そういった所から何か新しい発見ができるかも!? 身近な外国の方に聞いてみるのも面白そうですね。