ビジネスのグローバル化に伴い、徐々にニーズが拡大している通訳サービス。6年後の東京五輪開催を控える日本では、日常生活においても必要とされるシーンが増えていくと予想される。

そうしたなか、アジア地域での事業強化を打ち出しているのが英国の通訳サービス企業thebigwordである。日本人には馴染みの薄い「電話通訳」というサービスに強みを持つ同社。果たして、そのサービスはどういったもので、アジアにおいてどういったビジネスを展開していく計画なのか。

来日した同社CEO、Larry Gould(ラリー・グールド)氏に話を聞いた。

――まずはビジネスの概要について教えてください。

Gould氏 : 当社は翻訳・通訳サービスを提供する企業です。世界13カ国に拠点をもち、非正規を合わせて5500名以上の従業員を抱えています。

英thebigword CEO Larry Gould氏

手がける事業はさまざまですが大きく分けると、文書の翻訳を行う翻訳サービスと、会話を通訳する通訳サービスです。通訳サービスに関しては、現地にリンギスト(複数言語に通じた人)を派遣する"対面"型と、リンギストが電話を介して通訳する"電話"型の2種類を扱っています。

事業の主力となっているのは電話通訳ですね。対面通訳の取り扱いは、月間約16万件であるのに対して、電話通訳は月間約100万件、年間で1300万件超です。

電話通訳サービスにしろ、翻訳サービスにしろ、お客様とリンギストを結びつけ、支払いも含めた煩雑な作業を自動化するインフラを持っています。その技術力は当社の強みの1つと言えるでしょう。

――電話通訳とはどういったサービスでしょうか?

Gould氏 : 電話通訳は、目の前の相手との会話を電話を介して通訳するサービスです。携帯電話から特定の番号に電話をかけるとリンギストにつながります。つながったら電話口でリンギストに話しかければ、相手の言語に通訳されて電話口から返されます。要するに、電話の向こうにいるリンギストを使って通訳を提供するサービスですね。

電話会議システムのように多人数で話せる環境があれば通常の対面通訳と変わらぬフローで逐次通訳が受けられますし、そうした環境がなくても、受話器を回すことで言語の壁を越えた会話が可能です。

最大のメリットは、緊急時にも素早く対応できることですね。通常の対面通訳であれば、最低でも1週間くらい前にリンギスト、もしくは通訳会社に打診する必要があるでしょう。これに対して、電話通訳は、通訳が必要になったときに電話をかければ利用できます。サービス提供を受けられるまでの時間は最短で30秒です。

電話通訳は、24時間365日利用できます。4月時点で対応している言語の組み合わせ(日本語⇔英語、日本語⇔仏語、英語⇔仏語など)は250以上です。日本語からの通訳も、英語をはじめ多くの言語に対応しています。

料金は、1分ごとに課金する体系です。通訳を申し込む際に、パスコードを入れて言語を選ぶと、通訳時間に応じて自動で課金されます。

電話通訳サービスのデモンストレーションの様子。記者が電話口から日本語で質問している。その後、質問を通訳者が英訳し、電話越しにGould氏へ伝えられた