アンシス・ジャパンは5月29日、都内でプライベートイベント「ANSYS Convergence - 2014 Japan Conference - インスピレーションの集結。そこから一歩先の未来へ」を開催。併せて記者向け説明会を開催し、米ANSYSの社長兼CEOを務めるJim Cashman氏が第1四半期の決算概要など、同社の現状と今後の方針などを語った。
ANSYSの社長兼CEOを務めるJim Cashman氏 |
同社はエンジニアリング工学におけるシミュレーション技術をさらに高いレベルに引き上げることを使命としてビジネスを約40年にわたって行ってきた。2014年第1四半期決算業績は、売上高が前年同期比8.51%増の2億1650万ドルを達成。地域別の比率は北米が36%、欧州が35%、そしてアジア・太平洋が29%で、このアジア地域の売り上げは日本のほか、韓国、中国、インド、台湾の5カ国が中心であり、中でも日本地域は良好な事業の拡大を達成し、前年同期比で約13%の伸びを達成し、同地域における売り上げの比率も約45%となり、全世界的に見ても2番目の規模の重要な市場となっているとする。
「数値としては予測の中央値だが、ロシア地域からのオーダーが時節柄遅れているほか、ハイライトとして受注残が記録的な件数となっており、これらが将来の売り上げとして計上されることとなる」と、今後の見通しも明るいことを強調した。
また、2014年第1四半期には、「Reaction Design(リアクション・デザイン)」と「SpaceClaim」の買収が発表されている。Reaction Designの買収により、ANSYSのソリューションとして、物理現象と化学反応を組み合わせたシミュレーションを行うことが可能となる。一方のSpaceClaimの買収により、高性能で直感的な3Dダイレクトモデラーを活用することが可能となり、幾何学形状がどのような形で最終製品の挙動につながるのか、といった点などを早い段階で解析することが可能になるとする。
アンシス・ジャパンの代表取締役社長を務める大古俊輔氏 |
日本地域については、アンシス・ジャパンの代表取締役社長を務める大古俊輔氏がより詳細な説明を行った。2014年第1四半期の日本の状況はというと、新規ライセンスが多く、既存顧客であっても、新規分野での活用が進んできている、ということで、最近では、医療機器や医学的な治療への活用、例えば患者一人ひとりの動脈瘤の解析などにも使われるようになってきたという。
また大古氏は、「日本が強い自動車産業においても、常にイノベーションを生み出すための苦労があり、最近では燃料電池自動車の実現に向けた自動車と電機分野の相互乗り入れなどが話題になっているが、そうしたすり合わせにより、新しいテクノロジーを生み出すといった部分を強力に手助けしていきたい」と、日本の産業界のイノベーションを生み出す手助けを推進していくことを約束した。
なお、CEOは、「第1四半期の決算は良好な結果を出せたが、まだまだ各市場の売り上げ比率はいずれも20%以下で、幅広く使える可能性が示されている。そうした意味では、従来のハイエンドなエンジニアだけが解析を行う、というのではなく、そのすそ野を拡大していくことで、より多くの人が解析に関わるような世界とすることで、事業の拡大を図っていきたい」と述べ、解析に対する潜在的な市場の掘り起こしを積極的に進めていくことを強調していた。