東京都・清澄白河のタカ・イシイギャラリーでは、アラーキーこと写真家の荒木経惟による新作個展「左眼ノ恋」を開催している。開催期間は6月21日まで(日月祝は休廊)、開催時間は12:00~19:00。入場無料。

荒木経惟「左眼ノ恋」2014年 RP-Pro クリスタルプリント イメージサイズ36.3x54.5cm ペーパーサイズ45.7x56cm cNobuyoshi Araki / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Tokyo

同展は、2013年10月に右眼網膜中心動脈閉塞症により右目の視力を失った荒木が、それ以降も以前と変わらない精力的なペースで撮り続けた数百点にもおよぶイメージで構成された最新シリーズの中から65点を展示。これらの作品は、撮影したフィルムの右部分を黒マジックで塗りつぶしたポジからプリントされており、写真はそのまま左眼と右眼の視界を投影し、右側部分は陰りのある視界を表している。

また、同シリーズは、前立腺がんを乗り越えた後、さらに視力を失うという事実に直面しても、「死はこっちに向かって来るからね。こっちからは向かいたくないじゃない。来るんだよ。吹き飛ばさないとだめだぞ(笑)」と、意欲的に撮影を続ける荒木の現在を映している。

なお、「左眼ノ恋」という展覧会タイトルは、エド・ヴァン・デル・エルスケンが1954年に出版した写真集『セーヌ左岸の恋』(Love on the Left Bank)にかけており、かつて女性に同じポーズをさせて写真を撮っていたという荒木の、エルスケンへのオマージュでもある。