"かっこいい!"と思う日本のWebサイトは?

今や私たちの生活に欠かせないWebサイト。情報収集やコミュニケーションに活用したり、エンターテインメイントを楽しんだりなど、さまざまな用途があります。それらのサイトには、ジャンルや役割に沿ったビジュアル、使いやすさを形づくるUI(ユーザーインタフェース)、サイトでの満足感などを与えるためのUX(ユーザーエクスペリエンス)など、各側面でのデザインと工夫が含まれています。

現在ではそうした研究が日本でも進み、世界に引けを取らないクオリティのWebサイトが多数作られている状況です。世界最大の広告祭「カンヌライオンズ」でも、日本でつくられた作品が金賞を取ることも多いんですよ。

そこで今回は、日本在住の外国人20名に「"かっこいい!"と思う日本のWebサイト」を聞いてみました。

TBWA\HAKUHODOSHIFTBRAINWOMB(フランス/30代後半/男性)

Web系のデザインに精通している方でしょうか。ビジュアルや機能、印象など幅広い要素で面白いサイトを回答してくださいました。TBWAは広告系列のデジタル関連企業だけにエンターテインメイント性が満載。デジタル空間でペーパークラフトなどの手作り感を再現する手法は今やWebサイトでも定番ですが、ビジュアルや動きが丁寧につくり込まれており、見る人を素直に楽しませてくれます。

一方、SHIFTBRAINは、ごくシンプルながらフレンドリーさもあり印象に残るデザイン。WebデザインアワードFWAのモバイルデザイン部門で賞を受賞しているIT系制作会社のようです。渋谷にあるクラブWOMBは、白を基調としたスイスデザイン風の3カラム型。スライドするギミックが面白く、ほんのり近未来感を感じさせます。

アウディ ジャパン(インドネシア/30代後半/男性)
■車関係のサイト。(ブラジル/50代前半/女性)

自動車業界は、Webサイトのビジュアルを重視する分野として1、2を争うのではないでしょうか。特設サイトの設置も頻繁に行われ、Webサイト制作の技術やツールにも先端のものが取り入れられることが多いといえます。つまりそれは、最新鋭のカーテクノロジーを搭載した高機能かつ高品質な車のコンセプトが、Webサイトにもそのまま引き継がれているからなのです。回答にあがったアウディ ジャパンも同様で、現在はA8シリーズの特設サイトを公開中。ビジュアルやBGMのみならず撮影方法にもこだわった美しいビジュアルが見ることができます。

パナソニックソニー(オーストラリア/40代前半/男性)
日本ファインケミカル(ポーランド/20代後半/女性)
エコーズ(スウェーデン/40代後半/女性)

企業サイトあれこれ。パナソニックとソニーという回答は、恐らく各商品のスペシャルサイトすべてを含んでのことでしょうね。こうした大企業のサイトでは、メニュー配置やカラーリングなどデザイン上の細かな規則が決められており、Webデザイナーはその範囲内でデザインしなくてはなりません。多くの制作企業が関わってもWebサイトの印象が崩れないのは、こうした工夫がなされているからなんですね。

さて、化学品の専門商社である日本ファインケミカルのサイトが商品の信頼性を伝えるシンプルでクリーンなデザインであるのに対し、外国人モデルやタレントのマネジメント事務所であるエコーズのWebサイトでは、デザインにおけるポイントが正反対。ビジュアルイメージが重要な業種だけに、写真を多用した楽しくポップなイメージがつくられています。

ユニクロ(韓国/40代後半/男性)

かつてFlashをWebの表現技術として取り入れ世界中を驚かせたクリエイター、中村勇吾氏が中心となってディレクションを手掛けるサイトです。徹底したグリッドレイアウトとショップロゴの赤を利かせたビジュアルで、大量の商品を扱うサイトでありながらすっきりした印象。要素だけ見ればチラシのデザインのようにも転びがちですが、それがないのはさすがWebの匠の仕事です。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(イギリス/40代後半/男性)
■スポーツ関係のサイトです。(インドネシア/30代前半/女性)

エンターテインメイントとスポーツには通じるものがある、と思うのは筆者だけでしょうか。USJは7月にオープンするハリーポッターをはじめイチオシの情報がドーンと表示され、見る人を現地同様にワクワクさせるデザイン。「スポーツ関係」とはニュースサイトと予想されますが、こちらも美しい写真を見せるグラフ誌風のデザインが多いですよね。例えば、本誌でグラフィックや写真に力を入れている「Sports Graphic Number」ではWeb版にもフォトギャラリーがあり、見る人にスポーツのワクワク感を伝えています。

■西欧と比較するとかっこいいWebサイトがあまりありません(企業のサイトを仕事で利用しますが、特に日本語と他の言語(英語ほか)の違いが大きく、リンクされていないのでショックを受けます)。海外との取引が多い企業のサイトはよいと思います。(ロシア/20代後半/女性)

Webサイトにおける日本語版と英語版の違いに苦労する、というご意見。昨今はグローバル企業を筆頭に英語版に力を入れる企業も増えましたが、まだまだ言語の壁は大きいのかもしれません。小さな企業では英語版が抜粋だったり、基本ページのみの翻訳に留まったりしていることもありますよね。初期は国内の人に情報を伝えるツールという認識でスタートした分野だけに、仕方ない部分もあるのでしょう。とはいえ、そんな状況も少しずつ変わりつつあります。こうした問題も減っていくに違いありません。

技術やデバイスの進歩にも影響を受けながら、刻一刻と形を変えていくWebサイト。今後も、世界と肩を並べるデザインが日本からたくさん作られていくことでしょう。Webサイトはあまり国境を感じさせない分野ではあるだけに、こうした話をあらためて外国の方々としてみるのも面白そうですね。