トヨタ自動車は5月28日、同社が2011年に発表した「介護・医療支援」領域のパートナーロボットである「歩行練習アシスト」と「バランス練習アシスト」を改良し、病気やケガなどで歩行やバランス確保が不自由な人に向けたリハビリテーション支援を目的とした臨床研究モデルを開発したと発表した。
同臨床研究モデルは、2007年末から藤田保健衛生大学と共同で開発を進めてきたもので、「歩行練習アシスト」は下肢麻痺などで歩行が不自由な人の脚に装着することで、脚を前方に振り出す動作や、膝を伸ばして体重を支える動作をアシストすることで、リハビリを支援するというもの。一方の「バランス練習アシスト」は、同社の立ち乗り型パーソナル移動支援ロボット「Winglet」の倒立二輪技術を活用することで、バランス確保が不自由な人が、体重移動をするとゲーム内のキャラクターもそれに連動するといったゲームで楽しくリハビリができるというもの。
2011年より医療機関の協力を得て、実証実験を行った結果をフィードバックすることで、今回、「歩行練習アシスト」では、脚部装着部分を吊り上げる機構を搭載させ、練習者にかかるロボットの重量負荷を低減したほか、練習者の回復の度合いに合わせて、ロボットからのアシスト量の変更を可能とした。また、 関節の角度などの歩行データをモニタリングし、歩行の状態を音や画像で練習者にリアルタイムで知らせることが可能となったほか、短時間で装着可能な構造に仕様が変更されたという。一方の「バランス練習アシスト」も、重心移動練習(前後、左右)と重心保持練習ができる3種類のゲーム(テニス、スキー、ロデオ)を設定可能とし、練習者とゲームキャラクターの動作の連動性を向上させたほか、練習者のバランス機能の回復の度合いに合わせて練習難易度を自動的に設定されるように仕様が変更されたという。 なお同社では、「歩行練習アシスト」と「バランス練習アシスト」の早期実用化を目指し、2014年秋より、それぞれ20拠点の医療機関に有償で提供し、今後の臨床研究に活用してもらう方針だとしている。