情報通信研究機構は5月28日、既存のインフラを用いず、端末のみでネットワークを構成する端末間通信ネットワークシステムを開発したと発表した。

今回開発したネットワークは、中央制御装置が不要で、通信端末は互いの通信範囲に入ると、自動的にネットワークを形成して通信を行う。よって、個々の端末装置などの故障や停止がネットワーク全体に影響を及ぼすことなく、故障や災害に強いネットワークを実現できる。

通信端末には、屋内設置型サイネージ端末、バス内設置型サイネージ端末、屋上設置型端末、情報収集型センサ端末、携帯型端末などがあり、近接する通信端末間の通信は、「ARIB STD-T108」「IEEE802.15.4g」に対応している。

端末間通信ネットワークの構成図

通信端末は、コンテンツの時間情報を比較することで新しいコンテンツへのアップデートを行うため、常に新しい情報を地域住民に配信することが可能だ。

地域内を移動する人やバスなどを利用した柔軟なネットワーク構成をとることができるため、地域社会に密着した情報共有システムとして、行政サービス情報や地域イベント、商品広告の配信、地域の環境情報の収集などに利用できる。

現在、東京都港区台場地域で運行している台場シャトルバス「お台場レインボーバス」とその沿線施設、京都府精華町で運行している「精華くるりんバス」とその沿線施設に端末間通信ネットワークを配置し、バス内サイネージ端末と各施設に設置されたサイネージ端末などを用いた行政サービスや地域イベント情報などのバスによる運搬・配信実験、バス接近予告などの実験が行われている。

端末間通信ネットワークの東京都港区台場地域での配置図

お台場レインボーバス」と沿線施設に設置した各種端末の例