災害や地殻変動、環境破壊などを調べる陸域観測技術衛星2号「だいち2号」は5月24日午後0時5分、快晴の鹿児島県の種子島宇宙センターから、大型ロケットH2Aで打ち上げられた。予定通り高度630~647 キロの軌道に投入され、打ち上げは成功した。太陽電池パネルなどの展開も進んだ。
三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用するH2Aは18回連続で成功し、成功率は95.8%になった。今回は同時に、東北大と北海道大が共同開発した「雷神2」や、和歌山大、日大、民間企業の相乗りの小型衛星4基も軌道に投入した。
だいち2号は、東日本大震災などで活躍した「だいち」の後継機。レーダーを使い、雨や雪、曇り、夜間でも地上を観測する。地上の物体を見分ける分解能は、だいちの10メートルから3メートルへと性能を上げた。衛星の姿勢を傾けて、左右の観測もできる。災害などの際には、最短1時間後に緊急観測が可能で、観測後、1時間程度で画像を提供でき、応急性や実用性を増した。
地球を南北に97.5分で周回し、14日ごとに同じ地点の上空を通過する。火山活動の監視や地殻変動、森林、極域氷河の観測など多方面に活用される。約80日間、各機器の性能を確認してから撮影を始め、半年後には画像の提供を開始する予定。JAXAによると、設計寿命は5年(目標7年)で、開発費は打ち上げ費用も含めて374億円。