岡山大、世界最高レベルの移動度を実現した有機薄膜トランジスタを開発

岡山大学は、世界最高レベルの電界効果移動度を持った有機薄膜トランジスタを開発したと発表した。

同成果は、同大大学院 自然科学研究科の岡本秀毅准教授、江口律子助教、久保園芳博教授らによるもの。詳細は、「Scientific Reports」に掲載された。

今回、ベンゼン環がW型に繋がったフェナセンといわれる分子のうち、5個のベンゼン環からなるピセンに炭素14個からなるアルキル鎖を2個付けた分子の効率的な合成法を開発。同物質を使って有機薄膜トランジスタを作成し、世界最高レベルの電界効果移動度を達成した。

得られた移動度は21cm²V^-1s^-1と、従来の有機薄膜トランジスタに比べて、非常に高い値を示している。また、移動度の平均値も14cm²V^-1s^-1あり、極めて高性能であるという。同デバイスは、誘電絶縁体として、チタン酸ジルコン酸鉛を使っており、低電圧駆動することも確認されている。

今回の成果は、有機エレクトロニクスを使ったフレキシブルディスプレイの駆動、フレキシブルICタグの作製など、次世代エレクトロ二クスデバイスの実用化に向けて、大きく貢献するとコメントしている。