プロダクトマネージャー(PM)は製品開発を管理・統括するという重大な任務を追う。企業によっては製品や技術の知識と管理能力だけでなく、マーケティングの知識も必要となるため、適材を探すのが難しい仕事でもある。
「自分はいいPMになれると思い込んでいる人はたくさんいるようだが、とてもじゃないがこなせないレベルがほとんど」という辛辣なコメントを寄せるのがベンチャー起業家のVik Singh氏だ。ではPMに必要な資質とは何か? Singh氏がTNWに寄稿した「ほとんどのPMが使えない理由(原題:Why Most Product Managers Suck)」で明かしている。
毎月10人以上のPM候補と面接しているSingh氏によると、優れたPMというのはなかなか探せないのだという。PMが重要な理由は、「製品開発だから」というよりもチームにとって最も貴重である"時間"の管理を任されるからとSingh氏は語る。
ではPMに求められる資質とは何か。「影響力がある」ことや「知識が備わっている」「経験がある」の3つを必須としながら、具体的なポイントとして以下の4点を挙げている。
必要最小限からイノベーションを
「素晴らしい製品を開発したい」と誰もがそう思っているはずだ。ではPMは何ができるのか?
足し算式ではなく、引き算式で製品のスコープ(成果物やそれを創出するための作業)に落としこんでいけるスキルが必要だという。
機能がたくさんあってフォーカスが分かりにくい製品ではなく、顧客ニーズをきちんと満たすために本当に必要な「核」をPMが定義することで、その後の開発はぐっとかわってくる。
優先順位を明確に
スコープが決まったら、次はスケジュールだ。作業すべきことをカレンダーと照らしあわせながら予定を立ててみよう。ここでは、意志決定と妥協が重要だ。
さらには、どんなに綿密に予定を立てていても、「最初から作り直し」「使えると思っていたツールが使えなかった」「入手できるはずの部品に遅れが」といったアクシデントが起こることも珍しくはないだろう。
そんな時、PMが迷っていたのではメンバーが動揺や不安を抱く。迅速に優先順位を決めて明確な指示を出せるかどうかで、問題が及ぼす影響も変わってくるはずだ。
威張ってはダメ
「営業」や「マーケティング」「開発」と、それぞれのチームにリーダーはいるものの、頻繁に連携することは少ないだろう。しかし、製品の機能を詰めたり、発売、発表時期などで連携が重要になることがある。
他のチームのスタッフとの間の信頼関係に不可欠なのが「尊敬」だ。「威張る」ことで得られるものは少なく、自分の役割にプロフェッショナルであることや経験、知識があることで「尊敬」を得られる。
例えば、時間と製品への波及効果をみて、機能にかかるコストを手早く査定することができれば、周囲はあなたを信頼するだろう。さらには、マネジメントのノウハウと、それに自社製品が関係する技術やビジネス分野について勉強しておくことも助けになるはずだ。
心のこもったコミュニケーション
PMがやりとりするのは、開発やマーケティングだけではない。取引先と販売先、自社の幹部と話すことも大いにあることだろう。
製品に関する知識があると信頼してもらうためには、要点を明確にして話したり、書くスキルが重要になる。
チーム内では自分の決定したことや、やり方についてきてもらう必要がある。きちんと考えを示して、理解を得て、支持してもらうことで、メンバーの力の発揮具合が変わってくる。