NECは5月20日、垂直統合型システム「NEC Solution Platforms」の新製品として、データセンター内設置に特化し、クラウドサービスやビッグデータ分析などのサービス基盤として最適化した3製品を販売開始すると発表した。
新たに提供するのは、ホスティングサービス基盤「Cloud Platform for Dedicated Hosting」、IaaS基盤「Cloud Platform for IaaS」、ビッグデータ分析サービス基盤「Data Platform for Hadoop」の3つ。「Cloud Platform for Dedicated Hosting」は2014年7月末より北米から順次グローバルに出荷開始予定で、価格(税別)は5,000万円~。「Cloud Platform for IaaS」は、2014年12月から、北米より順次グローバルに出荷予定で価格は未定。「Data Platform for Hadoop」は、2014年12月からAPACより順次グローバルに販売し、価格は未定。
「Cloud Platform for Dedicated Hosting」は、レンタルサーバや物理ホスティングサービス用途に最適な製品で、省電力・高集積サーバとファシリティを組み合わせ、ホスティングサービスに必要なICTリソースを1ラックに集約した。
「Cloud Platform for IaaS」は、クラウド事業者や企業・官公庁のプライベートクラウド基盤としてネットワーク経由で仮想サーバを提供するIaaS基盤に最適な製品。OSSのクラウド基盤であるOpenStackを利用することで、商用ソフトウェアでの構築に比べて、低コストかつ早期の立上げが可能だという。
「Data Platform for Hadoop」は、ビッグデータ分析や高速分散処理などのサービス提供に最適な製品で、複数ノードの高速な並列分散処理を実現する、2.5Gbpsの高帯域ノード間ネットワークを採用したMicro Modular ServerとHadoopとを組み合わせている。
NEC ITプラットフォーム事業部 事業部長 西村知泰氏は、今回の新製品を発表した背景として、クラウドサービスプロバイダが抱える、価格競争に伴うサービスコストの低減、付加価値サービスの創出によるビジネス拡大という2つの課題があると説明。今回の新製品は、「NEC神奈川データセンター」での運用ノウハウを取り込み、これら課題に対応するための新たな技術を搭載した製品となっている。
コスト面では、フロア、電力、運用の3つのコスト削減を目指している。
フロアコストに対しては、省電力・高集積サーバ「Micro Modular Server」により、1ラックあたり700台のサーバを収容可能とし、設置スペースを従来比75%削減する。
電力コストでは、電力を使わずに熱の移送を可能とする相変化冷却技術をラックの背面に搭載することや、電力消費が大きい10GbEに代わりに2.5GbEを採用するなどして、消費電力を同社比で75%削減した。
相変化冷却技術は、NEC中央研究所がスーパーコンピューター向けに開発した技術で、強制ファンを使用せず、冷却用の液体(冷媒)が熱により気化し、上昇する性質を利用して、冷媒を空調機に送る技術。使用している冷媒に特許技術が使用されているという。
運用コストに対しては、複数ノードの統合運用管理の実現や、事前検証・構築済みの製品として提供することで削減する。
また、付加価値サービスの創出に向けては、構築済みの基盤を提供することにより、サービス基盤の早期導入を支援する。
同社は今回の新製品を、新たな市場を開拓するため、海外中心に展開し、クラウド先進ユーザが多い北米や新規データセンターの開設が進むAPACに注力する。
NEC 執行役員 福田公彦氏は、「オンプレミスからクラウドへのシフト、ビッグデータ活用という市場変化を捉え、NECのICTプラットフォームを一般企業向けからクラウド事業者向けにシフトしていく。新領域のクラウドサービス市場としては、ビッグデータ分析、IaaS/PaaS/SaaS、ホスティングサービスを考えている。新領域に向けては最適なプラットフォームを用意していくべきだ考えた」と新商品発表の理由を説明した。
同社では、2016年に100億円の販売を目指すという。 それにともない販売支援体制も強化し、拡販する組織を新設、北米向けには企画部門、APAC向けにはグローバル販売促進部門を設置、EMEA(Europe, the Middle East and Africa)はパートナー経由で販売体制を強化するという。