IPアドレスマネジメントの加BlueCatは、日本市場への参入とジェイズ・コミュニケーションとの代理店契約を締結したと発表した。
加BlueCatは、IPアドレス管理に特化した製品を提供しており、IPAM(IPアドレスマネジメント)と呼ばれる。これは、企業全体のIPアドレスとドメインネームを統合管理する製品で、DNS/DHCPサービスを制御できる。統合管理とDNS/DHCPサービスをアーキテクチャとして分離することで、スケーラビリティとセキュリティ、高いパフォーマンスを実現している。
日本でのIPAM活用は「1%に満たない」(David Jones氏)というものの、欧米ではIPアドレス管理の重要性が認知されつつあり、グローバル企業の上位6%がIPAMを導入しているという。欧米における市場成長は、同社の成長にも繋がっており、昨年の成長率は対前年比で25%、今年は30~35%を見込んでいるという。
大きな特徴としては、ネットワークの核として一カ所で制御できる点だという。IPAMによって、スケーラビリティだけではなく、これまでExcelなどで管理していたIPアドレスをIPAMで管理できるようになることでセキュリティが確保できるようになった。
IPアドレスのExcel管理は、一部の通信事業者を除いて多くの一般企業/IT企業が行なっているとJones氏は語っており、「コンプライアンスがまるでなく、リスキーである」と断言。IPAMによって、そのようなリスク軽減を図ることができ、市場が立ち上がっていないことから、日本市場への参入を決定したと語った。
すでに導入している業種/業態は多岐に渡っており、製薬やリテール、金融、ソリューションプロバイダ、観光庁などが挙げられる。地域内だけではなく、世界中の支社・支店を管理できるため、効率的なアドレス管理が行えるという。
また、同社 CTOのAndrew Wertkin氏は、「企業はもはや、ネットワークがなければ製品もサービスも提供できない状態になっている。その一方で、ネットワークは複雑になりサービス要件が厳しさを増しており、日々進化し、それに付いていかなければならない状況に陥っている」と指摘。その上で、弾力性のあるネットワーク構築をIPAMで行なうことで柔軟に企業のIT効率化に対応できることを強調した。
会見後に行なわれた、Wetkin氏とJones氏のインタビューでは、国内だけではなく、海外の支店なども一カ所でIPアドレス管理を行なう際に、アドレス払い出しに遅延が生じないかたずねた。
Jones氏は「遅延は起こらない」と断言。その上で、IPアドレスが一カ所で効率的に管理できるメリットを強調した。
「それぞれの地域の人は、自分のIPアドレスをいじりたがるが、社内ネットワークのどこかでIPアドレスを勝手に変更されると一貫性が取れないことが問題になる。どこか遠くの支店の人間がIPアドレスを変えたい時には、中央のサーバーにログインするだけで、そのアドレスが全サーバーに配布されるから間違いが起こらない。中央のデータに整合性を持たせ得ることが重要で、クラウドに弾力性を持たせることができる。現状の管理方法では、IPアドレスの管理が分断されており、間違いも多い」(Jones氏)
IPAM導入には大きなメリットとして「BYOD導入が進む」という点を挙げた両氏。
「セキュリティを保ちながら、接続させることがBYODの鉄則だが、『リスクが伴うからBYODのレギュレーション制定しない』としてしまうと、それがかえってリスクになってしまう。何故なら、従業員は会社の意図とは別に、会社のWi-Fiに接続してしまうからだ」(Jones)
しかし、IPAMがあれば、社内端末を全て登録することで、社外の端末との識別が容易になる。
「社内評価済みのデバイスを認識しているから、iPhoneやAndroidなど別の端末と認識することで、安全な別の回線にトラフィックを流せる。こうした制御が、企業ネットワーク保護の利点になる」(Jones氏)
BYODに限らず、ネットワーク弾力性を向上させることが日本の企業に大きな価値を持たせられるとWetkin氏は語り、「IPアドレスを厳密に管理することで、必要な容量をすぐに拡張できるようになる。これは新たな価値といえるだろう」とした。
BlueCatは現在、他国言語版しか用意されておらず、日本語化は11月頃を予定しているという。
「この製品は、専門用語を知っている技術者だけではなく、APIを活用してIT部門以外の業務を行なっているサービス企画者などの部門にも使えるようにすべく日本語化を行なう。IPアドレス管理を、IT部門だけではなく、他部門でも利用できるように権限を委譲することで、企業のビジネスを加速させるお手伝いをしたい」(Jones氏)