コーセーは5月19日、和歌山県立医科大学皮膚科の古川福実 教授との共同研究により、皮膚がんの前駆症である「日光角化症(Actinic keratosis:AK)」患者に日焼け止めを長期間連用することで、その進行を阻止できる効果を発見したほか、日焼け止めの連用により皮膚の光老化の進行を抑制する傾向を確認したと発表した。
同成果の詳細は、5月30日より開催される「第113回 日本皮膚科学総会」および6月5日より開催される「第39回 日本香粧品学会」にて発表される予定。
紫外線を長期間浴びると、日焼けやシミやシワなどの光老化を引き起こす原因となるほか、日光角化症などの皮膚科的な疾患を引き起こすことが知られている。中でも日光硬化症は、日に焼ける機会が多いほど発症しやすいといわれており、部位としても紫外線を浴びやすい頭部や顔などに現れることが多いが、皮膚表面が赤くカサカサしたり、かさぶた上になったり、硬いイボ様になったりするものの、痛みなどの自覚症状がないことも知られている。
ただし、日光角化症は皮膚がんの前段階あるいは初期症状として位置づけられており、放置すると悪性の皮膚がんに進行する可能性があり、日本での患者数は近年増加傾向にあると言われている。
予防には紫外線の防御が有効とされていることから、今回、研究グループでは、皮膚科医による管理指導の下、日光角化症患者13名(開始時平均年齢79.4歳)にSPF30、PA+++の日焼け止めを18カ月間、連用してもらうという試験を実施。試験開始時、開始後6カ月、12カ月、18カ月経過時に、顔面の皮膚症状の診察、日光角化症の個数の確認、ならびに皮膚水分量・経皮水分喪失量・皮脂量・シミとシワの数についての測定を行ったほか、開始時と18カ月系家事の病変部位の皮膚生検を実施した。
その結果、18カ月経過時の診察では、症状が軽快する傾向が確認されたほか、病理組織学的解析からも日光角化症の症状が悪化した患者がいないことも確認されたとする。また、病変の数についても、有意な変化は認められず、日光角化症の新生も抑制されていることが示唆されたとする。
なお同社では、病変部以外の健常な皮膚においても、水分量など肌状態が一部改善し、シミやシワなどの光老化症状の抑制効果が確認されたとするほか、真皮の日光変性の変化も見られず、日焼け止めの長期使用が皮膚の光老化症状の進行も抑制できることが確認されたとしており、今後、日焼け止めの使用による紫外線防御の重要性についての啓発を行っていく予定としている。