富士通セミコンダクター(FSL)は5月15日、車載カメラの画像を解析して自車に接近する他の車両や人などの物体を検知する機能をグラフィックスSoC用ソフトウェア「接近物検知ライブラリ」として製品化したと発表した。
同社はこれまで、車載向け高性能グラフィックスSoCによる高速で鮮明な画像表示を生かし、クラスタ(ダッシュボード)、コンソール、さらにはヘッドアップディスプレイなどの各種ディスプレイへの画像表示を一元的に制御する統合HMI(Human Machine Interface)や、車両に搭載したカメラの画像を立体的に合成して車両の全周囲を自由な視点で表示させる全周囲立体モニタシステムなどの車載向け映像ソリューションを開発・提供してきた。
一方、2018年5月以降に生産される乗用車に後方確認用モニタの搭載を義務付けるKids and Transportation Safety Act(KT法)が米国で施行されるなど、車両の周囲の情報をドライバーに知らせる機能は今後ますますその需要が増していくと考えられる。中でも、自車に接近する他の車両や人を自動的に検知してアラームを発する接近物検知機能は、ドライバーの負担を軽減する手段として有効であり、このような機能を性能面で妥協することなく、かつ容易に実装できる製品が求められていた。
今回、この接近物検知機能を車載向け映像ソリューションの重要な要素と位置づけて開発し、接近物検知ライブラリとして製品化した。同製品は、独自の誤検知防止技術の採用により検知漏れや過検知を大幅に低減したのに加え、データ処理の並列化など同機能をソフトウェアで実現するための様々な最適化を行った。同製品を利用することで、画像認識LSIなどの専用ハードウェアを用いることなく、高性能かつ柔軟な設定が可能な接近物検知機能を短納期で構築することができる。
なお、「接近物検知ライブラリ」は、FSLの汎用グラフィックスSoC「MB86R24」を搭載した評価ボード上で動作確認できる評価版としての提供を5月より、製品版の販売を9月より開始する予定。今後、同方式の製品分野において市場をリードし、ワールドワイドでのトップシェアを目指すとコメントしている。