日立製作所は5月14日、国内の無線通信機器などで使用されている2.45GHz帯域における電磁波源の位置を特定し、到来方向を可視化する技術を開発したと発表した。
近年、スマートコミュニティなどの普及に伴い、無線通信技術を用いた各種データ収集および収集データを用いたマネジメントサービスが増加している。あらゆる場所で途切れることのない無線通信サービスを実現するためには高信頼の無線通信網の構築が必要であり、他の無線機器との干渉抑制や、設置現場におけるノイズ源の位置を特定する技術が求められてきた。無線機器が設置されている広範囲な空間で、無線機およびノイズ源の位置を効率的に特定するためには、より多くの電磁波を短時間かつ高感度に検出する必要がある。そこで今回、光の到来方向を認識できる人間の目に着目し、水晶体と類似した機能を持つ電波レンズと網膜の役割をする電界センサで構成された電磁波源の位置特定・可視化技術を開発したという。
具体的には、電磁波の到来角に応じて異なる位置に焦点を結ぶルネベルグレンズを用いることで、微弱な電磁波のエネルギーを焦点に集め-65.6dBm/m2の高い感度を実現した。さらに、ルネベルグレンズの各焦点に微小な金属セルで構成された低反射電界センサを設けることで高い角度分解能を確保した。また、低反射電界センサからの出力信号を、付属のカメラで撮影した画像と重ね合わせることにより、目視で電磁波の到来方向を確認することができる。
同技術により、微弱な電磁波を高い角度分解能で可視化できるので、無線機器の設置現場で、より効率的にノイズ源を特定することができ、無線を活用する社会インフラの信頼性や安全性の向上が図れるとしている。今後、無線設置現場での実証実験を進めていく予定。