東京ビッグサイトにて、5月14日より3日間の会期で開催されているJapan IT Week。同時開催されている11の展示会のうちの1つ『データストレージEXPO』を訪れたところ、文字通りベールに包まれた謎のアプライアンスを発見した。
当該の"ブツ"に遭遇したのはテクマトリックスのブース。製品の概要を示すパネルらしきものはあれど、実機やデモ動画が見当たらない……などと思っていたら、足下に、白い布に包まれた大きな箱があるのに気付いた。
テクマトリックスの担当者を問いただすと、パネルで説明している製品の実機だという。「展示ブースなのに展示しない」という斬新な施策だと早合点して驚きを禁じ得なかったが、実際のところは、「本日届いたばかり」というだけで、翌15日からは通常どおりに展示するらしい。
この製品の正体は、米AVEREが提供するストレージの仮想統合アプライアンス「AVERE FXT」。ケーブルにつなぐだけで複数のNASのストレージ容量を仮想的に統合し、クライアントに対して1つボリュームとして見せるアプライアンスになるという。もちろん、NAS側はスケールアウトが可能。容量の増設で悩むことはない。
また、データのキャッシュ機能も備えており、頻繁にアクセスするデータの処理を高速化する役割も果たす。AVERE FXT自体も簡単にスケールアウトできるため、パフォーマンスが落ちてきた際には、AVERE FXTを足すだけで対処することが可能という。
さらにAVERE FXTには、NASのみならず、Amazon S3をはじめとするクラウドストレージも統合できるという特長がある。通常、オブジェクトストレージのAmazon S3を利用する場合、APIを通じてデータの操作を行うことになるが、AVERE FXTを介在させれば、Amazon S3の存在を意識することなく、NFSやSMB/CIFSでデータ処理を行えるという。
なお、AVEREの創設者は、NetAppが2003年に買収した米Spinnaker Networks の創業メンバー。「ストレージ・グリッド」と呼ばれていた技術を開発した技術者らがスピンアウトして2009年に設立した会社で、製品に対する信頼性も高いという。
歴史の浅い会社であるため、アジアで販売している国はまだないという。日本においても今回テクマトリックスが持ち込んだのが初めて。したがって、近いうちに導入企業が現れればアジア初のユーザーとなるそうだ。
興味を持った方は、データストレージEXPOのテクマトリックスブースを訪れるとよいだろう。