KDDIと海上保安庁は5月13日、鹿児島県が主催する「平成26年度鹿児島県総合防災訓練(本訓練)」に参加すると発表した。実証試験は5月22日に実施する予定で、海上保安庁の船舶に携帯電話基地局を開設し、商用と同等の電波を用いた携帯電話システムとしての品質を検証する実証試験を実施する。

船舶型携帯電話基地局の仕組み(イメージ図)

訓練は、南海トラフを震源とする大規模地震に備え、鹿児島県が防災関係機関の相互連携や県民の防災意識を高めることなどを目的に、毎年度行っている。鹿児島県の近海を震源とする地震や津波、集中豪雨を想定し、情報伝達や救出、救護、避難誘導、ライフライン復旧を行っている。

KDDIは、鹿児島海上保安部所属の船舶「巡視船さつま」の船上に基地局を開設し、鹿児島県肝属郡南大隅町の海上で実証試験を実施する。その際、巡視船さつまが発信した電波を陸地の高台で受信し、そのときの感度をチェックする。また、基地局からの電波強度と船舶の揺れに伴う品質への影響を確認するとしている。

同社は、2012年11月に広島県呉市で携帯電話基地局の船上開設に関する実証試験を実施した。その際、800MHz帯の指向性アンテナを用いた沿岸部のサービスエリア復旧を試験した。今回の実証試験では2GHz帯のオムニアンテナを用いて、高台でのサービスエリアの復旧を行う。これにより、高台の避難場所に対する実用性の確認と通信システム(周波数、アンテナ指向性等)の違いによる効果の比較を行えるという。

鹿児島県肝属郡南大隅町と広島県呉市の試験

なお、KDDIはこの訓練で、車載型基地局、可搬型基地局、無線エントランス回線の増強など陸上での実証試験を行うとしている。