カネカは5月14日、菊花ポリフェノールを含有する菊花抽出物を摂取することで得られる血中尿酸値の上昇抑制効果が、「尿酸産生抑制」と「尿酸排泄促進」の2つの作用によるものであることを確認したと発表した。
同成果は同社ならびに東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻 ILSI Japan 寄付講座 機能性食品ゲノミクスの阿部啓子 特任教授、広島大学大学院先端物質科学研究科分子生命機能科学専攻の平田大 教授らによるもの。詳細は国際学術雑誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」に掲載された。
今回の研究は、同社がこれまでに報告していたヒト試験における菊花ポリフェノール摂取による尿酸値上昇抑制の機構を解明することを目的に行われたもの。具体的には、体内の尿酸量が「尿酸産生」と「尿酸排泄」のバランスによって決定されていることに着目し、食餌性高尿酸血症モデルにおいて、尿酸値上昇抑制効果の作用メカニズムの検討を行ったという。
この結果、高尿酸血症誘導食を摂取させたラットの尿酸値は上昇したが、高尿酸血症誘導食に加え菊花ポリフェノールを摂取させたラットでは、高尿酸血症誘導食による尿酸値の上昇が抑えられること、ならびに菊花ポリフェノールの摂取が、肝臓における尿酸産生酵素(キサンチンオキシダーゼ)の酵素活性を阻害すること(尿酸産生の抑制)と、尿中の尿酸濃度を上昇すること(尿酸排泄の促進)を確認したという。
また、腎臓の網羅的遺伝子発現解析の結果、尿酸の排泄に働く尿酸トランスポーターであるABCG2およびSLC17A1の遺伝子発現の上昇が認められ、これらの遺伝子発現変動が、菊花ポリフェノールによる尿酸排泄の促進に関与していることが示されたとする。
今回の成果をうけて研究グループでは、菊花ポリフェノールは、原因により、「尿酸産生過剰型」、「尿酸排泄低下型」、「混合型」の3タイプに分類される高尿酸血症のいずれにも効果を発揮することが期待できるとコメントしている。