Intelの日本法人であるインテルは5月9日、都内で会見を開き、5月14日より開催される「第17回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」への出展概要を中心に、同社ならびに子会社であるウインドリバー、マカフィーを含めたIoT分野に向けた取り組みの紹介を行った。

最近になって、「IoT」や「Internet of Things」、「モノのインターネット」といった言葉があちこちで取り上げられるようになってきたが、実際にそれがなんであるのか?、と問われると具体的なイメージはいまいちしづらい。Intelでもそこは理解しており、「IoTは目的やビジネスの分野ではなく、新しいサービスやビジネスを生み出すためのプラットフォーム」であるという見解をしており、そうした新しい価値そのものであるとする。

そうした同社は同分野には3つの柱が必要だという。1つ目は「インテリジェントな機器」。すでにPCやスマートフォン以外の機器がネットワークに接続するのは当たり前となりつつあるが、そうした機器のセキュリティをどう考えるのか?、はたまたさまざまな機器が接続されるので、そうした機器のマネジメントをどうやって行っていくのか、といった制御を考える必要が生じている。2つ目が「インテリジェントなシステム・オブ・システムズ」であり、これまで通信機能を持たなかったレガシーの機器に後付で通信機能を搭載し、最新の機器とヘテロジニアスな接続をどうやって実現するのか、という問題。そして3つ目は「エンド・ツー・エンドのアナリティクス」だ。ビックデータと呼ばれるものは、その実、単に集められたデータそのものには価値がない。そうした膨大なデータの中から、その値が何を意味して、どういった価値を持っているのか、そうしたことを導き出す必要があり、そうした作業から、逆に必要となるデータは何であり、その取得のためにはどのような機器が末端で必要かを定義する必要があるとした。

実はこうした取り組みを同社は米国を中心にすでに実際に進めており、「IoTはIntelにとって、投資対効果を発揮できる分野になってきた」とし、日本でも今回のESECを機に、そうした3つの柱に対するソリューションの提供を行い、市場の開拓を進めたいとする。

Intelの考えるIoTに対する3つの柱とその対応ソリューション

具体的には、まず、Quarkや組み込み向けAtomを搭載したIoTゲートウェイ製品や開発キットの提供を行っていき、将来的には量産キットも提供していきたいとする。同ゲートウェイ製品は、単なるハードウェアキットとして提供されるのではなく、Wind River Linuxやマカフィーのセキュリティソリューション「McAfee Embedded Control(MEC)」なども搭載したトータルソリューションとなっている。

IoTゲートウェイ開発キットの概要と搭載されるソフトウェアの概要

実際のIoTゲートウェイの外観。内部はESECの会場にて確認してもらいたいとのこと

また、産業機器分野における「ワークロード・コンソリデーション」を推進する機器の提供も行っていくとのことで、1つの筐体でマルチコアCPUを活用して、複数の機器の処理を実現することができるシステムを第1弾製品としてESECに出展するという。

産業機器のワークロード・コンソリデーションにより、1つの機器で複数の処理を同時に実行することが可能になる

さらに、エンド・ツー・エンドのアナリティクスに対しては、さまざまなアプリケーションに対するAPIの提供を強化していくとのことで、すでにMASHERYなどの買収を進めており、プラットフォームの強化を図っていることを強調。実際に日本でのビジネス導入も進んでいるとした。

APIを活用することでエンド・ツー・エンドIoTの利活用が促進できるようになるというのが同社の考え

なお、同社のブースでは、IoTゲートウェイによるEchonet Lite HMESシステムや産業用ワークロードコンソリデーション、リアルタイム機械学習プラットフォーム、マザーボード設計支援ツールの「Intel Intelligent System eXtended FFRD」などが展示される予定だという。