京セラは5月12日、LTEに対応した機器間通信(M2M)向け通信モジュール「KYM11」を開発し、5月19日よりKDDIから法人市場向けに販売されると発表した。
M2Mとは、人を介在せず、ネットワークで繋がれた機器同士が直接データのやり取りをするシステムで、例えば、産業機械の稼働状況の把握や、電力、ガスのメータの遠隔検針など、多種多様な分野において膨大な情報収集が行える。この中で、「KYM11」は、産業機械などに基幹部品として組み込まれ、各種データ配信を可能とする。
これまでのM2M用モジュールは、低速通信対応の製品が多く、今後さらなる拡大が見込まれるM2M市場においては大容量のデータをやり取りするニーズが高まってくることから、高速通信を可能とする通信モジュールの需要はますます高まってくると考えられる。同社では、これまで高品質、高信頼性が求められる車載用通信モジュールの開発を手がけてきた。今回、それらの製品開発で培った知見を生かし、高い信頼性やサポート体制が求められる法人向けのM2M通信モジュールとして、LTEに対応した通信モジュールを製品化したという。
具体的には、800MHz帯LTEに対応し、KDDIのネットワークを使い、受信時最大75Mbps、送信時最大25Mbpsの高速通信が可能で、M2M間でのデータ配信が短時間でできる。また、LTEを利用するため、USBインタフェースを搭載している他、高速通信が不要なユーザー向けにUARTインタフェースも搭載している。さらに、SIMあり/なしの利用形態が選択できる。どちらもOTA(Over The Air)機能による回線開通が可能。SIMありで使用する場合は、共有のSIMカードの差し替えで、複数のモジュールを利用することができる。この他、KDDIの通信モジュールの従来機能であるGPS機能やプロトコル変換機能などにも対応している。さらに今回、緊急速報メールに対応したのに加え、KDDIが販売する既存の産業用組み込みモジュール製品と同形状かつATコマンド/リザルトコードを踏襲している。
なお、同製品は、KDDIより5月12日に発表されたLTE対応通信モジュール向け新料金プランに対応する。