STMicroelectronicsは5月9日、住宅内における電化製品の待機電力が一層低減される中、極めて低い電力レベルまで正確に計測することで、電力会社の料金請求の精度向上に寄与するスマートメータ用IC「STPM32/33/34」3品種を発表した。
電力会社は、同製品群を搭載したスマートメータを利用することにより、料金請求における損失が最小限に抑えられるとともに、節約志向の強いユーザに対しても一貫した料金請求を行うことができる。既存のメータは、一般に50mA以上の電流レベルでは極めて正確だが、待機電力が低下している現在、そのレベルより低い電流で誤検出が発生して、広範囲にわたる顧客に対し、最大数メガワット時の料金請求ができなくなる可能性がある。これに対し、同製品群は、待機時のLEDバックライト搭載テレビが利用する電流に相当する、わずか数mAの電流レベルまでメータの高い計測精度を維持することで、このような料金請求における損失を防げるという。
さらに、電力会社の運営コストを削減する、より経済的なスマートメータの開発を可能にする。RMS電圧および電流の測定、皮相電力計算、低電圧電圧および過電圧の検出といった電力の演算を1チップ上で実行できるため、メータが搭載するホストプロセッサの負荷を軽減でき、プロセッサのソフトウェアの簡略化が可能になる。「STPM33/34」の持つ中性点電圧変化検出機能は、改ざん防止機能として利用できるため、メータの設計をさらに簡略化するとともに、システム・セキュリティを強化する上で役立つ。加えて、「STPM34」では、単相および多相システムにおける皮相電力計算が可能となっている。
この他、ハードウェア設計を簡略化し、外付け部品点数と基板面積を抑えるための重要な機能を集積している。これらの機能には、ボルテージレギュレータ、長期間にわたり高精度を実現する温度補償済み基準電圧、DC磁場に対する耐性を確保するための絶縁機能を低コストで可能にするSPI/UARTホスト接続などが含まれている。また、一回の較正により、メータ製造を合理化するとともに、保守・点検サービスにかかる費用が低減される。そして、DCまでの低い周波数を計測できると同時に、広帯域にも対応しているため、電力特性の評価において高調波成分の高精度な計測を可能にする。
「STPM32/33/34」は、単相・多相ACアプリケーション向けに2/3/4チャネルの独立した回路数を備えている。また、世界各国の規制当局により採用されている、IEC(国際電気標準会議)とANSI(米国国家規格協会)の各種規格に準拠している他、SGCC(State Power Grid Corporation of China)の要件を上回る性能を持っている。
なお、すでに入手可能で、価格は1000個購入時で約1ドル。