STMicroelectronicsは5月8日、各種アプリケーションで低消費電力性能を実現する最新のマイコン「STM32L0」シリーズを発表した。
「STM32L0」シリーズは、電力効率に優れたARM Cortex-M0+コアと、最適化されたアーキテクチャ、電力管理モード、超低消費電力ペリフェラル、低消費電力USB機能のサポート、および独自の超低消費電力プロセス技術を組み合わせたことで、バッテリ駆動アプリケーションの長時間動作に寄与する。
具体的には、駆動時の消費電流が87μA/MHz、RAMデータが完全に保持されるストップモード時の消費電流が400nA、低消費電力タイムカウンタ、高速ウェークアップ時間が3.5μsといった性能を特徴としており、アプリケーションは低消費電力モードを最大限活用することができる。同シリーズにより、コンピュータ周辺機器、医療用モニタ/トラッカー、産業センサ、スマートホーム機器などの設計において、長いバッテリ寿命を実現したスリムかつ軽量な機器が開発できる。例えば、他の製品では消費電流が急激に増加するような高温下にあっても、同シリーズは独自のプロセス技術によって、幅広い温度範囲にわたる安定性を保証し、125℃でも超低消費電力を実現する。さらに、超低消費電力の12ビットA/Dコンバータ(ADC)を内蔵しており、100kサンプル/秒の動作時の消費電力はわずか48μAとなっている。また、内蔵ハードウェアのオーバーサンプリング機能により、ADCの分解能は16ビットまで向上させることができる。
同シリーズは30品種以上の製品で構成されており、基本的なエントリレベルの製品から、USB接続機能に最大8x28のLCDコントローラをオプションで搭載した製品まで用意されている。さらに、USBフルスピードに対応した製品のため、水晶発振子不要の動作、USBバッテリ充電検出機能、低消費電力化に寄与するリンクパワーマネジメントなどをサポートしている。
そして、「STM32L0」をサポートする消費電力計算ウィザードなどによって強化された設計ツール「STM32CubeMX」により、同製品を使用して低消費電力の目標を達成することができる。「STM32CubeMX」は、初期化コードの生成時間を短縮し、異なる「STM32」マイコン間での設計移植の簡略化に貢献する。この他、Morpho/Arduino互換のコネクタを搭載し、mbed.orgのサポート対象となる新しい開発ボードである「STM32L0 Nucleo」も、2014年中頃に発表される予定。
加えて、ePaperディスプレイ、リニアな静電容量式タッチコントローラ、自己診断システムを搭載した開発キットにより、「STM32L0」の開発エコシステムをさらに充実させる予定で、マイコンの消費電力の迅速な測定が可能になる。「STM32L0」開発キットは2014年中頃に発表される予定。また、「STM32L0 Nucleo」ボードおよび開発キットの両方に、同社のLink/V2ハードウェアデバッガが付属する。この他、「STM32L0」向けに最適化されたサンプルコードスニペットは、「Nucleo」ボードおよび開発キットに利用することができ、さらなる低消費電力設計に貢献する。
なお、価格は大量購入時で約0.93ドルから。最大で64KBのフラッシュメモリ、8KBのSRAM、2KBのEEPROMを内蔵し、2.7mm角のWLCSP36から10mm角のLQFP64までのパッケージオプションが用意されている。