アットマークテクノは5月8日、Empress Software Japan(ESJ)製の組み込み向け商用データベース(DB)「EMPRESS Embedded Database」が組み込みプラットフォーム「Armadillo」に対応したと発表した。
「EMPRESS」はANSI SQL92に完全に準拠した組み込み向けデータベースで、マルチプロセスタスク、ODBC/JDBCをサポートし、断電回復機能、非断片化構造、小リソース、定時制、リソース消費量の正確な予測など、組み込み向けで必須となる機能をすべてエンジン内部に取り込んでいる。ミドルウェアは、暗号化、レプリケーション、業務用データベース、ビッグデータと連携するM2Mレプリケーション、全文検索、絞り込み検索、空間検索など、時代のニーズに合わせた最先端の機能を備えている。
「EMPRESS」の最大の特徴は、機能だけでなく、世界中で多くの採用実績があることにある。北米ではNASAや米国陸海空軍など多くの公企業や研究所、民間ではBoeing、Xerox、Cisco、VeriFoneなどの大手有名企業、ヨーロッパではフランス電力公社、スイス気象会社、スウェーデン海軍などの社会インフラに採用されている。日本においても、国内シェア約70%を占める大手FAメーカー、通信キャリアの基地局の機材を提供している大手通信メーカー、ビル設備管理やアプライアンス、医療機器、ヘルスケア、複合機、テレビ放送機材の大手メーカーなど、多くのミッションクリティカルな分野において「EMPRESS」が導入されている。これらの導入実績をもとに、どの分野のどのようなユースケースに対しても、充実したサポートを提供することが可能であり、組み込みシステムに初めてデータベースを採用するユーザーも安心して使用できるとしている。
「Armadillo」は、ARMプロセッサ搭載のCPUボードにLinuxをプリインストールした組み込みプラットフォームである。Linuxのデバイスドライバやソフトウェア開発環境なども併せて提供される他、長期供給の国産CPUボードであるため、組み込み機器の試作開発から量産にそのまま利用できるのが特徴となっている。ユーザーがゼロから基板を開発してOSを移植するなどの工数を省き、初期費用を抑えられることが可能なので、中少量の組み込み機器で特にコストメリットを発揮する。また、有線/無線LANなどのネットワークインタフェースと、I2C/SPI/UARTなどのセンサ向けインタフェースを備えているため、M2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)などのゲートウェイプラットフォームとしても最適である。
一方、M2MやIoTなど"モノのインターネット化"が注目される昨今、センサからのクラウドに送られる膨大なデータを、中継するゲートウェイでデータの選別・集約をすることで、効率的に処理したいというニーズが高まっている。そこで今回、「EMPRESS」を「Armadillo」で気軽に試し、少量機器にも採用できる環境を整えた。具体的には「Armadillo」の購入者向けに、「EMPRESS」の評価用SDKを無償提供し、データベースを利用したことがないユーザーにも、メリットを実感する機会を提供する。また、機器の量産時にも「Armadillo」と併せて「EMPRESS」の量産用ライセンスも購入可能にし、少量機器に採用しやすく配慮した。
なお、「EMPRESS」の評価用SDKは6月中旬より提供が開始される。今後、両社は組み込みデータベースの活用で、組み込み機器開発の効率化を一層進めていきたいとコメントしている。