ユビキタスとアットマークテクノは5月8日、ユビキタスのデータ管理ソリューション「Ubiquitous DeviceSQL」をアットマークテクノの組み込みプラットフォーム「Armadillo-800/400」シリーズ向けに最適化した「Ubiquitous DeviceSQL SDK for Armadillo」を開発したと発表した。6月下旬より発売する。
「DeviceSQL」は、組み込み機器向けに特化し、ストリームベースの世界最小クラスのデータベースエンジン(メモリフットプリント:50KB~)をベースに、高速データベース機能とイベント処理機能を兼ね備えており、組み込みシステムに最適化されたデータ管理機能を実現するフレームワーク製品である。Linux、μITRON、Windows Embedded、VxWorks、QNX、ThreadXなど各種組み込みOSをサポートしており、IPセットトップボックス、デジタルカメラ、カーオーディオ、携帯電話といった大中規模のコンシューマ向け製品を中心に採用実績がある。一方の「Armadillo」はアットマークテクノ製CPUボードのブランドで、産業用途向け組み込みプラットフォームとして定評がある。
今回、「DeviceSQL」と「Armadillo」を組み合わせ、産業機器にも使いやすいソリューションとして展開。今後マーケットの拡大が予想されているIoT(IoT=Internet of Things)の分野、特にエネルギーマネジメントシステム(EMS)、産業制御機器、医療機器といった分野に注力していくとしている。
従来、業務産業系組み込みシステムにおけるデータ管理は、CPUパワー、メモリ容量といったシステムリソースが制約されていることもあり、機器メーカーが内製で開発したソフト、SQLiteなどオープンソース系データベース、あるいは商用組み込みデータベースを利用するなどして対応してきたが、それぞれに課題があった。内製ソフトの場合、システムに特化しているため、パフォーマンス性能を出せるという点では優れているが、システムごとにカスタマイズしなければならず、その開発工数やメンテナンス性に課題があった。
SQLiteなどオープンソース系データベースの場合、動作環境に合わせてポーティングやチューニングが必要となる。また、オープンソースの為、動作保証がなくサポートサービスなどがない。
商用組み込みデータベースでは、業務産業系分野の場合、多品種少量生産のため、ターゲットボードごとに移植費用が発生する場合もあるなど、導入の初期費用が量産台数に比較して、高額になってしまう。
今回の「DeviceSQL SDK for Armadillo」には、開発用のSDK(ソフトウェア開発キット)と「Armadillo」上で動作する各種OSに対応した「DeviceSQL」ランタイムサービスが含まれており、SQL文を指定して、データベース検索や複雑なイベント処理を行うことができるため、データ管理アプリケーションを効率良く開発できるようになる。一方、導入費用については、「Armadillo」製品購入者向けに特別価格で提供されるのに加え、量産時に必要となるランタイムライセンスは少量から購入可能となっており、「Armadillo」と併せて多品種少量の組み込み機器に採用しやすいよう配慮されている。なお、対象の「Armadillo」製品の購入者は「アットマークテクノ ユーザーズサイト」から「DeviceSQL」の評価版ソフトウェア(利用期間制限付き)を無償でダウンロードし試すことができる。