上に立つ立場になると、これまでと気をつけることが変わってくる。誰かの下で働いていたときとは違うスキルや能力が求められるものだ。知らず知らずのうちに、部下だったときに嫌っていた"いやな上司"になっていないだろうか?
「悪い上司だった」と自身の経験を踏まえて避けたいことを書いたコラム「僕がひどい上司だったときにやっていた7つのクセ(原題:7 Bad Habits That Made Me a Terrible Boss)」がIncに掲載されている。もしあなたが人の上に立つ立場にあるのなら、ぜひとも反面教師にしたい内容だ。
コミュニケーション不足
最初はメールや対話など、コミュニケーションの問題だ。上司が部下に定期的な報告や経過連絡を求めるのは普通のことだが、自分はどうだろか?
プロジェクトが難航しそうであったり、目標達成の見込みが急に怪しくなったり……。こういったことには適切なタイミングで通知するように求めている一方で、部下に対してみずから積極的にコミュニケーションを取っているだろうか。
フィードバックはもちろんのことだが、自分が感じていることや経営層の考えをきちんと共有していこう。
不適切な昇進
「適材適所」とは言うが易しで、現実的に全てが上手く行くとは限らない。しかし、空いているポジションに「誰を昇進させるか」は、人員配置を考える上でより難しいケースだ。
記事の筆者は部下が転職するのではないかと恐れて、その人物を昇進させたことがあったと明かし、「これは大きなミスだった」と振り返っている。
数ある候補のなかから誰が昇進するのかは、チームに大きな影響を与えるし、政治的な意味合いも含まれるだろう。単に、その人材に期待しているというだけで決めてはならない。
その人が本当にその役割に適しているか、十分な能力があるか、ちゃんと評価することも上司の仕事といえそうだ。
意見が合わない時は……
チーム間で意見の対立があったときこそ、上司の力の発揮どころだ。鶴の一声となるのか、有能な外交官として調整役に徹するのか、心優しき独裁者か。
さまざまなアプローチがあるだろうが、間違っても自分の立場を振りかざして一方的に怒鳴りつけることは絶対にダメだ。「それぞれの意見を聞いて解決策を探る」ということが、上司に求められる能力といえる。
不要なものを買う
周囲や環境を考えずに会社の経費で最新のPCやタブレットを買った経験はないだろうか?それほどの機能やスペックは不要で、あなたのチームにはそぐわないかもしれない。
上司が考えるべきポイントは、業務をこなしている自分の部下が仕事をこなすために、十分な機器を持っているのか。デジタルデバイスだけではなく、ペンやホチキスといったオフィス用品にも気を配ろう。
プライドはほどほどに
プライドと一口に言っても、良いプライドと悪いプライドがある。良いプライドとは、「自分には、これまでの長い経験があるから、他人を率いることができる」という自信。一方で悪いプライドは、「仕事で置かれている"人の上に立つ"という立場が、仕事以外の全てに当てはまる」と勘違いしている場合を指すという。
そのため、悪いプライドを持つ人は自然と人を見下すような言動をとる。結局のところ、仕事は仕事なのだ。仕事を離れると、その肩書きはほとんど意味をなさないと思っておきたい。
なんでも知っている
前項に関連して、「自分はなんでも知っている」と悪い自信を持つことの最大のデメリットは、自分が成長しないことだろう。部下は何も知らないし、逆に自分は何でも知っていると決めつけて、メンバーを見下していないだろうか。
部下が特定の分野について自分よりもよく知っていることは十分ありうる。年齢が上がれば上がるほど生じる事態かもしれない。メンバーがそれぞれの知識を活かすチームを作ることを最優先にして、変なプライドを捨て、才能ある部下を上手く使って行こう。
ビジョンを共有しない
「最大のミスだったかもしれない」と記事の筆者が反省しているのは、企業や部門のビジョンを部下としっかり共有できなかったことだ。
大きな方向性を語らずに細部ばかりを命令されても、部下のモチベーションは高まらない。言わなくてもわかるだろうと思わずに、「自分たちが何を達成しようとしているのか」を部下に語ってビジョンを共有していこう。